<2013年度前期>スポーツ社会専攻の取り組みを紹介します~第3弾~

Posted on 2013.08.08

4月の入学以来、スポーツ社会専攻の1回生は、様々な学びを経験
してきました。そのなかから、スポーツ社会専攻が主催した専攻企
画(第1弾~第3弾)を紹介いたします。
第3弾は「カシム・ザ・ドリーム:チャンピオンになった少年兵」鑑賞会
についてです。
スポーツ社会専攻の基礎演習4クラスは、6月20日(木)サブゼミの
時間を活用し、昨年に引き続き、「ドキュメンタリー観賞会」を以学
館1号ホールで実施しました。

今回、観賞会で取り上げられたドキュメンタリー映画は「カシム・ザ・
ドリーム:チャンピオンになった少年兵」(日本未公開作品)という
作品です。
観賞に先立ち、市井准教授よりドキュメンタリーの概説があり、本
作品を通じて「現代のスポーツが抱えている問題を発見してほしい」
との提起がなされました。本作品の概略を示すと、6歳で誘拐され
ウガンダの国民抵抗軍の少年兵にさせられ、殺人や拷問に関与
したカシムは、青年期にボクシングを学び、軍を脱走し、渡米します。
その後、カシムは、アメリカでプロボクサーとしてデビューを果たし、
世界チャンピオンになります。祖国ウガンダやアフリカを想い、戦っ
てはいても、「脱走兵」であるカシムは、ウガンダとアメリカにとって
政治的な存在であり、彼のウガンダへの帰国には政治的な困難が
立ちはだかります。しかし、その困難を解消し、帰国を果たしたカシ
ムでしたが、それは「故郷に錦を飾る」というものではありません。
生家に戻り、カシムを誘拐した国民抵抗軍に殺された父の墓前で
泣き崩れるシーンは、本作品のハイライトであり、人々にスポーツと
政治との非情な関係を強く印象づけるのではないでしょうか。まさに、
学生たちの日常生活からは想像も出来ない、非常にインパクトのあ
る約90分のドキュメンタリーでしたが、真剣に観賞していました。
ドキュメンタリー観賞会を終えてスポーツ社会専攻1回生の大坪明日
香さんは、「スポーツは平和がなければ出来ないものだと思った。
スポーツを楽しむためにはある程度の条件が必要である。主人公で
あるカシムは、ボクシングによって人生を変えることが出来たが、現
在でも戦争や内戦が起きている地域や貧困地域では、スポーツに
出会うチャンスもない子供たちがたくさんいる。先進国の子どもたち
は、小さい頃からクラブに通うことも、テレビやスタジアムで観戦する
ことが出来、スポーツが生活の一部になっているのに対して、発展
途上国の子どもたちは、経済的にも、生活面においてもまるで違う。
この格差が問題である」と感想を語ったように、今回の観賞会は今後
の学習の面においても学生たちに大きな影響を与えたと言えます。

スポーツ社会専攻では後期にも、昨年に引き続きスポーツを軸に
据えたキャリア形成に関する講演会などの開催を企画していきま
す。

文責:スポーツ社会専攻 市井吉興 准教授

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