『137億年の歴史』クリストファー・ロイド氏講演会東日本大震災が地球史の見方を変えた

Posted on 2013.10.10

9月27日、メディア社会専攻企画としてイギリスの作家で、地球
環境と限り在る地球の存在について文理総合の観点で執筆された
『137億年の物語』(What on Earth Happened)の著者である
クリストファー・ロイド氏による講演会が開かれました。
講演は「137億年の果てで母なる地球と人類の未来を考える」と題
して行なわれ、会場となった創思館カンファレンスルームには、
メディア社会専攻および他専攻の学生および教職員50名が集まり、
ロイド氏の講演に耳を傾けていました。

<講演会の様子>

ロイド氏は、1968年生まれで、ケンブリッジ大学を卒業後、
『サンデー・タイムズ』(The Sunday Times)に勤務。テクノロジー担当
編集者を経て、2000年には、体全体を使ってバーチャルな世界に
入り込んで体感できる学習システムを開発する
Immersive Education in Oxfordの最高経営責任者でもあります。

<クリストファー・ロイド氏>

その後、2006年から作家活動を開始し、2010年には自ら出版会社を
立ち上げ、現在は執筆活動とともに、世界各地での精力的な講演活
動を行なっています。
今回は、9月30日から10月1日にかけ、朝日新聞社主催の「地球環境
フォーラム」(開催地:東京)での講演で来日し、これを前に立命館
大学での講演が実現したものです。
ロイド氏の講演は、『137億年の物語』に沿って行なわれましたが、
著書は、科学事典と歴史書をひとつにしたような内容で、宇宙誕生
のビッグバンから2011年の3.11東日本大震災までの人類の歴史
が網羅されています。


ロイド氏は、東日本大震災が発生したことから、2012年11月に直接
福島県の被災地を訪問し、住民を見舞ったそうで、この経験を通じて、
著書の最後部分を書き換えたそうです。地球の歴史を考える中で、
この大震災が占める位置づけがいかに大きいものだったかを講演の
中でも指摘していました。
ロイド氏は、宇宙のビッグバンから生命が誕生し、脳が人類・生物の
行動にどのように作用するのかなどを説明したり、人間の脳のメカニ
ズムを紐解いた上で、人はどのように学べばよいかについて、面白く
かつ明確に解説したりして、参加者の知的な興味・関心を高めてくれ
ました。


参加者からは、「ロイドさんは、地球史、脳のメカニズムを研究され
たからこそ、自然の力、文明の力という視点で、震災を見ることがで
きるのだと思います。私は震災を経験した身です。自分の考えは感
情論に過ぎないのではないかと思う節もありますが、経験した身だか
らこその価値観を大切にしてゆきたいと思いました」「詳細ばかりで
はなく、大局的な視点をもっていきたいと思いました」などの感想が
ありました。
ロイド氏は、震災後の日本には、政治的なリーダーシップが必要、
社会は短期的・長期的な視野で復興に立ち向かうことが重要、そして
震災を経験した日本だからこそ、これまで技術立国として世界に誇っ
た日本の真価が、特に新エネルギー開発において発揮されると信じて
いると話しています。
講演の最後では、参加者と一緒に壇上で和やかに記念写真を撮る
光景もみられました。ロイド氏が京都を訪れたのは、今回が初めて
でしたが、とても京都に好印象を持ったようで、是非また訪れたいと
話していました。

<全体写真>

文責:BEN


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