2013年度後期「デジタル/コンテンツ文化・産業論Ⅱ」第4回講義

Posted on 2013.10.28

今年で開設10年目を迎える音楽関連団体共同寄附講座「デジタル
/コンテンツ文化・産業論」は、一般社団法人コンサートプロモータ
ーズ協会、一般社団法人日本音楽出版社協会、公益社団法人日本芸能
実演家団体協議会・実演家著作隣接権センターの3団体の寄附により
運営が成り立つ講座で、音楽評論家の反畑誠一客員教授のコーディネー
トによって、コンテンツ産業界の最前線で活躍されている諸氏をゲスト
講師として招聘するリレー形式の授業です。この科目では、デジタル化
とインターネットがもたらした文化・産業の構造変化を多角的に現状分析・
認識し、次世代の方向性を研究することを課題としており、コンテンツ
ビジネスやエンタテインメントビジネスに関心を持つ定員400名の学生が
受講しています。

10月18日(金)に行われた第4回講義では、株式会社ニワンゴの代表
取締役社長として、動画サイト「ニコニコ動画」の運営を手掛ける
杉本誠司氏をお招きし、「niconicoサービス志向(ネット時代のメディア
変革)」をテーマに講義が行われました。

<杉本誠司氏 株式会社ニワンゴ 代表取締役社長>

講義ではまず、ニコニコ動画について、「動画という共通の話題を
通じネット上で多くの人と繋がり、出会いの機会を体感する場」で
あること、コンテンツをユーザー自らが生み出す「コンテンツ・エコ
サイクル」が原動力となっていることをお話いただき、そのコンテ
ンツ・エコサイクルを支えるプラットフォーム構造についても分かり
やすく解説いただきました。ユーザーの活動を活性化させる環境
を整えることが運営側の大切な作業であり、そのために権利許諾
に関する施策やクリエイターを後押しする創作支援施策等様々な
取組みを行っていることも紹介いただきました。SNSの流行の根底
には「自己認識欲」が存在すること、そしてそれが新たなメディア
構造を生み出していることを学生は実感しました。


続いて、ニコニコ動画から生まれたクリエイティブがもたらす社会
的影響とそれに伴う権利問題について解説いただき、ユーザー、
事業者、権利者による著作物に対する相互理解環境が促進されて
いる現状をお話いただきました。日本の強みであるクリエイティビティ
を守り、海外で活躍する人材を育成するためにも二次創作物等に対
する相互理解を深め、新たなルール作りを行うことが重要なポイント
となってきていることを学生は学びました。企業主導から消費者主導
という経済原理の変化に伴うメディア変革の実態を示すとともに、著
作権のあり方について必要な知識と考え方を示す講義となりました。

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