インターナショナル・メディア・キャンプ直前企画と3・11後の日本を海外メディアの目から考える

Posted on 2015.07.14

最初は、「国際メディアの現場から:日韓で最先端のメディア
現場を訪問・体験し、分析する」(金山勉教授担当)、産業社会学
部の企画研究(SB)で実施している、日本・韓国のメディア比較の
学びにかかわって、米・インディアナ大学ジャーナリズム・スクー
ルのラーズ・ウィルナット立命館客員教授(専門分野:国際コミュ
ニケーション、国際ジャーナリズム)がクラスを訪問し、受講生と
意欲的な「知」の交換を行った授業の様子を紹介します。

本企画研究では、2015年9月7日から11日までの予定で、韓国ソウル
の西江大学コミュニケーション学部と提携して開催される「インタ
ーナショナル・メディア・スタディーズ・キャンプ(IMSC)」を実施
します。
IMSCでの基本コミュニケーション言語は英語で、西江大学の韓国人
学生および世界からの留学生たちを迎え、メディア比較の成果発表
として、英語による「日韓メディア比較プレゼンテーションおよび
ディスカッション」を実施しますが、この内容をもとに、十分な成
果をあげたと認められた受講生に対してのみ、西江大学学長名で本
プログラムの修了証が発行されます。
2015年6月22日、ウィルナット教授を迎えて実施された、キャンプ
直前学び企画の「日本のメディア事情(新聞、放送、広告、ニュー
メディア)」にかかわる英語プレゼンテーションでは、学生たちが
それぞれ担当のメディア分野について調査した内容と分析報告を丁
寧に説明していました。

各グループのプレゼンテーションに対して、ラーズ教授は、それぞ
れの発表に対する努力を認める一方、もっとメディアと社会との関
係について踏み込んだ内容にして欲しいなど、さらに高いレベルを
目指して準備を進めるよう、厳しいコメントや鋭い質問をしていま
した。

<ラーズ・ウィルナット立命館大学客員教授>

ラーズ教授は、「日本のメディアにかかわる学びをもとに、9月に
ソウルで実施されるIMSCでは、もっと深く韓国メディアついて知識
を得て、日本のメディアとの違いをしっかり分析し、韓国の学生と
の間で、英語を共通言語として頑張って学んできてほしい」、とコ
メント。また学生時代に、問題意識を持って、主体的なメディアの
学びをすることが大切だとも強調していました。
9月に実施されるIMSCでは、西江大学コミュニケーション学部に所属
するメディア・ジャーナリズム分野の韓国第一線の教授から韓国メ
ディア事情について、新聞、放送、広告、ニューメディアの四分野
について英語講義を受け、その知識をもとに各関連メディア現場を
訪問して、韓国メディアの実情を肌で感じ取り、学ぶことができま
す。
次は、英国の高級紙である『フィナンシャル・タイムズ』アジア編
集長(香港駐在)であるデービッド・ピリング氏による、特別講演
会、「FT・David Pilling アジア編集長の特別講演会」についてで
す。

<デービッド・ピリング氏>

特別講演は、昨年12月16日に、メディア社会専攻企画として開催さ
れました。ピリング氏は、英フィナンシャル・タイムズ紙の東京支
局長として2002年から6年館にわたり世界に向けて刻々変化を続け
る日本を発信しました。
日本での滞在経験をもとに、2014年に上梓した、日本の社会の強さ
や欠点を描いた『Bending Adversity(災いを転じて)』の中では、
東日本大震災後の力強く起き上がろうとする日本の底力について
強調しています。
今回の専攻企画では、ピリング氏から、(1)海外特派員支局の長
としてみつめた日本の変容にかかわる知見を聞く、そして(2)ア
ジア太平洋諸国の一員である日本を構成する一市民としてグロー
バルな視座をどのようにもつべきか、産業社会学部の学生がより
強く意識できるような内容で、講演会に出席した学生たちからも
積極的な質問が出ていました。

グローバルなジャーナリズムの一線に立つ、優れてジャーナリスト
からの知見を直接聞くことができる、貴重な機会になったとのコメ
ントが出席者からも聞かれました。
3.11東日本大震災、戦後復興、幕末維新など国家の非常時に際し、
強靭な耐える力と回復力を見せてきた日本への「まなざし」を持つ
英国・『フィナンシャル・タイムズ(以下FT)』のピリング氏の講
演会は、東日本大震災後の復興途上にある日本社会で学び、生活す
る受講生に対して、日本が抱えている現代的な課題を、改めて意識
化し、自らのかかわりをもって考え、議論する大変刺激的な場とな
りました。


文責:BEN


このページの上部へ