学部学生の方へ

生物はDNA、RNA、タンパク質、糖質、脂質、といった様々な有機化合物によって形作られていますが、生命現象を生み出す原動力となるのはタンパク質です。
それを可能にしているのが、修飾を受けることで活性や局在がダイナミックに変化するという、タンパク質独自の性質です。
私達は生命現象の基礎となるタンパク質修飾の中でも、膜タンパク質を細胞から切り離す「シェディング(図1)」に興味を持って研究を行っています。
シェディングは、細胞につなぎとめられた膜タンパク質の外側を細胞から切り離すことで遠くまで情報を伝えるだけでなく、内側を膜から切り離して核内で転写を制御する転写因子を生み出すこともできる影響力の強い修飾であり、様々な生命現象に関わっていますが、特にがん・神経変性疾患・生活習慣病の発症に関わることから注目を集めています。


研究内容

1) シェディングされる膜タンパク質を決める仕組み

状況に応じて特定の膜タンパク質だけがシェディングされますが、シェディングされる膜タンパク質を決める仕組みは明らかにされていません。私達は選択的スプライシングによりシェディングが変わる膜タンパク質を複数見つけています(図2)。これらの膜タンパク質の解析を通じてシェディングを決める仕組みに迫ります。

2) シェディングが増強する仕組み

シェディングは状況に応じて増強しますが、その仕組みもまた明らかにされていません。シェディングを行う切断酵素(図1ハサミ)に結合するタンパク質や、細胞膜の脂質に注目してその仕組みを解明します。

3) シェディングが制御する生命現象

私達がシェディングされることを明らかにしてきたタンパク質は、細胞の増殖・接着・病原体の取り込み・イオン濃度の調節など実に様々な機能を持ちます。それぞれの機能をシェディングがどのように制御するのか解析し、シェディングの果たす役割の全貌を明らかにします。

配属を希望される方へ

これまでの講義や実験では既に正解がわかっていることを学んできたと思いますが、卒業研究では正解がわからない重要なことを自分の手で明らかにしてもらいます。
そのためには自分で考えて行動する力だけでなく周囲とコミュニケーションし信頼関係を築く力が必要不可欠です。
また卒業研究(できれば博士前期課程での研究も)を通じて、「自分の行動が社会を変える感覚」を身につけることは、卒業後社会で活躍する上で大きな助けになると確信しています。

興味のある方はお気軽にkshira@fc.ritsumei.ac.jp(@を半角に変えて下さい) までご連絡ください。