酸化チタン光触媒薄膜の研究

光触媒は水素エネルギーのゼロエミッション生成やバイオメディカル応用に有望な機能材料です。光触媒材料である酸化チタン薄膜は、紫外線照射により発生した光生成キャリア(正孔、電子)とラジカルが表面で各種反応を起こし、例えば、水の吸着サイトとなる酸素空孔が増加して超親水性を示します。他にも光照射による酸化還元反応を利用した水分解反応(水から水素、酸素を生成)や抗菌反応(菌、ウイルスの有機膜を破壊し、不活性化)も有用なアプリケーションです。本研究では、光生成キャリアの表面の局在化を促進して光触媒反応を制御する試みや、これらの光触媒反応の活性化のための膜構造制御(例えば表面積を増やす)、組成比の制御、結晶構造の制御に取り組み、新規で高性能な光触媒の研究に取り組んでいます。光触媒による濡れ性制御の研究については文部科学省 科学研究費 若手研究(B) 16K17505による助成を受けております。光触媒を用いた水素生成の研究については第37回マツダ研究助成(公益財団法人マツダ財団)の助成を受けております。ここに謝意を表します。

 

本研究のこれまでの成果 (論文誌と学会発表)

[1] 瀬川悠太,小林大造,”分極制御によるTiO2薄膜の光応答型濡れ性変化の促進 ”, 電気学会論文誌E 141 (7) , 141巻 7号、 pp.222-227, (2021)

[2]  瀬川悠太,小林大造,”TiO2 薄膜の分極制御による光応答型濡れ性変化の促進” , 第37回「センサ・マイクロマシンと応用システム」シンポジウム ,2020年10月27日 (速報特別賞)

[3] 佐伯翔, 山本健輔, 小林大造, "多孔質TiO2光電極を用いた水分解リアクターの高効率化",  電気学会全国大会  2020年3月13日

[4] 瀬川悠太,小林大造,”Se/TiO₂光電池を用いた電圧印加による光触媒表面の光誘起親水化反応の促進”,第36回「センサ・マイクロマシンと応用システム」シンポジウム,2019年11月19日