ピエゾフォトトロニクスの研究 -曲げると光起電力が変化-
本研究室ではピエゾフォトトロニクス効果(圧電-半導体-光励起の相乗効果)を用いて “曲げると起電力が変化する薄く柔らかい光発電デバイス”の研究に取り組んでいます。太陽電池やフォトダイオードではPN接合を用います。片側に圧電性半導体(ひずみを加えると分極が生じる材料)を用いることで、ひずみ印加時には光電流の取り出しに関わる障壁の大きさが変化し、光起電力が変化します。従来はエネルギーバンド制御の手法として不純物の添加や混晶化が用いられていますが、組成比や結晶構造の変化により材料の電子物性が変化し性能低下する場合があります。本研究では酸化亜鉛系圧電半導体にひずみを印加して圧電分極電荷を接合界面に発生させて、P型結晶セレンに対するバンドオフセットを変化させる手法をはじめとした各種の研究に取り組んでいます。これまでにPETフィルム上に酸化亜鉛系窓層/結晶セレン光吸収層による薄膜光発電デバイスを形成し、基板を曲げることで光起電力を顕著に変化させることに成功しています[1]。
本研究のこれまでの成果 (論文発表)
[1] J. Fujimura, Y. Adachi, T. Takahashi and T. Kobayashi, "Impact of piezo-phototronic effect on ZnMgO/Se heterojunction photovoltaic devices" Nano Energy, Vol. 99, 107385 (2022)