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Maskless soft lithography for fabricating micro- and nanoscale Ag structures via solid-state electrochemical etching using a polymer electrolyte membrane for optoelectronic and sensing applications
Tatsuya Fujii , Daishi Hakozaki , Atsuki Tsuji , Masaru Takizawa and Junji Murata
Materials Advances (2025) DOI: 10.1039/D5MA00218D
マイクロ/ナノ構造を持つ銀(Ag)表面は、透明導電膜や高感度プラズモニックセンサーの有望な候補とされています。本研究では、ポリマー電解質膜(PEM)スタンプを用いた固体電気分解により、直接的で、簡便かつ低コストなパターニング手法を開発しました。形成されたパターン表面は光透過性が向上しており、フレキシブルな透明導電膜や表面増強ラマン分光法(SERS)基板への応用が期待されます。
当センターでは、BL7によるXSP測定とBL13によるXAS測定により、出来上がったAgナノパターンの状態が金属状であること。ポリマー電解質が不純物として表面に残らないことを明らかにしました。
Synthesis and structure of anisotropic borosilicate glasses under differential stress at high pressure and temperature
Taniguchi Shingo , Yamada Akihiro , Tomohiro Ohuchi , Koji Ohara , Daisuke Shibata , Mizuki Nishiwaki , Jun Matsuoka
Journal of the American Ceramic Society (2025) DOI:10.1111/jace.70040
高圧下で、ガラス転移点以下の温度域においてガラスに差応力を加えることで、大きな複屈折を示すホウケイ酸塩ガラスの合成に成功した。また、当研究センターで測定したB K-edge吸収スペクトルの解析により、平面三角形配位のホウ素が差応力によって配向することで、ガラス内部に高い異方性が生じていることが明らかとなった。
Spectroscopic Analysis of the Extracellular Matrix in Naked Mole-Rat Temporomandibular Joints
Tetsuya Adach, Hayata Imamura,Toyonari Yaji, Kentaro Mochizuki , Wenliang Zhu , Satoru Shindo ,Shunichi Shibata , Keiji Adachi ,Toshiro Yamamoto , Fumishige Oseko , Osam Mazda , Kyoko Miura ,Toshihisa Kawai and Giuseppe Pezzotti
Gels 11(6) 414 (2025).
高圧下で、ガラス転移点以下の温度域においてガラスに差応力を加えることで、大きな複屈折を示すホウケイ酸塩ガラスの合成に成功した。また、当研究センターで測定したB K-edge吸収スペクトルの解析により、平面三角形配位のホウ素が差応力によって配向することで、ガラス内部に高い異方性が生じていることが明らかとなった。
Glass compositional dependence of In+-center concentration and fluorescence spectral properties in In3+-doped and Mn2+-co-doped phosphate glasses
Noriyuki Wada, Kaito Akiyama, You Yamashita, Toyonari Yaji, Kazuo Kojima, Taro Asahi
Optical Materials 165 (2025) 117165.
リン酸塩ガラスのMnは紫外光により赤色発光します。本論文は活性化助剤として働くIn+を高濃度に含むリン酸塩ガラスの組成を検討されたものです。本センターのBL10を用いて、Inの局所構造が調べました。
3D Precise Structure Determination of Single-Atom Cu Species on TiO2 Using Polarization-Dependent Total Reflection Fluorescent X-ray Absorption Fine Structure Empowered by Chemically Constrained Micro Reverse Monte Carlo and Density Functional Theory
Yunli Lin, Kai Oshiro, Jun-ya Hasegawa, Satoru Takakusagi, Wang-Jae Chun, Masao Tabuchi, and Kiyotaka Asakura
The Journal of Physical Chemistry C 129 8193-8205.
担体上の単原子で高分散した単原子触媒は100%原子効率を示す触媒として注目されていますが、その立体構造を精密に決める手段はありません。この研究では、単結晶酸化物担体をThiophene Carbonic Acidで修飾することで、Cuの単原子触媒を調製し、その3次元立体構造を偏光全反射蛍光XAFSスペクトルを、新たに開発した化学構造拘束条件マイクロ逆モンテカルロ(CC-MRMC)法により解析し、さらに密度汎関数法を併用することで、長距離構造も含めて、精密に決定することができました。この手法を用いることで、他の単原子触媒の精密な立体構造決定に応用できるものと期待されます。
Photochromic Color Tuning of Copper-Doped Zinc Sulfide Nanocrystals by Control of Local Dopant Environments
Mayu Kimura, Daisuke Yoshioka, Dr. I-Ya Chang, Dr. Akinori Irizawa, Daisuke Shibata, Prof. Shin Imada, Prof. Yoichi Kobayashi
Angew. Chem. Int. Ed. (2025) 64 e202423776.
フォトクロミック材料は、光照射によって可逆的に色や透明度が変化する物質です。無機フォトクロミック材料は、有機化合物よりも比較的安価で、熱安定性が高いなど、いくつかの利点があります。しかし、同じ成分でその色を調整することは、依然として大きな課題となっています。本研究では、CuドープZnSナノ結晶(NC)のフォトクロミック色を、チオール配位子および非チオール配位子を用いて制御したZnとSの表面化学量論を調整することにより、光照射前は淡黄色であるフォトクロミック色を灰色から褐色に調整できることを実証しました。本センターの軟X線Beam Line BL11 において、Cu L 吸収端を測定し、1価のCuに特徴的なスペクトルを得ることができました。さらに、SA-1で測定したXPSでも1価のCuであることと矛盾しない結果が得られました。本研究成果は、無機ナノ粒子におけるフォトクロミック反応の多様性を拡大し、さらなる高度なフォトクロミックナノ材料の開発に向けた重要な一歩となると期待されます。
Oxygen Functional Groups Regulating Sulfur Distribution in Carbon Micropores to Enhance Solid-Phase Conversion Reactions for Lithium–Sulfur Batteries
Luna Yoshida, Takashi Hakari, Yukiko Matsui, Yuki Orikasa, and Masashi Ishikawa
ACS Applied Materials & Interfaces (2025) 17 22822-22830.
次世代Liイオンバッテリーとして注目を集めるLi硫黄電池の硫黄を、酸素で修飾したカーボンナノ細孔に閉じ込めることで、性能が大きく向上することがわかっていたが、その性能向上メカニズムは未解明であった。本研究では、STEM-EELS測定、O K-edge XANES測定といった最先端分析手法を駆使することで、カーボンナノ細孔に存在する酸素官能基が充放電に伴う細孔内部での硫黄の移動およびそれに伴う局在化を抑制することを明らかにした。当研究センターを利用した O K-edge スペクトル測定により、カーボンナノ細孔の内部および表面の酸素官能基が充放電後も残存していることが証明された。こうした知見は今後のLi硫黄電池開発に役立つものと期待される。