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立命館大学SRセンター長の小島でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
皆様のおかげをもちまして、当SRセンターは、今年度(2022年度)に設立27年目を迎えました。2020年度はコロナ禍による利用運転の縮小、昨年度(2021年度)は光源故障による利用運転の長期停止と、皆様には大変なご迷惑をおかけいたしました。この長期停止後、今年(2022年)2月から利用運転を再開し、以降、4月の2週間ほどの定期メンテナンス期間を除いて、利用運転を継続しております。多くの皆様のご利用を何卒よろしくお願い申し上げます。なお、最近導入されましたESCA装置につきましても、ご利用いただくべく準備を進めております。
さて、立命館大学にSRセンターが設立されましたのは、びわこ・くさつ(BKC)キャンパスに理工学部が移転して2年目の1996年でございます。「新キャンパスの目玉となる最先端施設を導入する」という目的で、住友重機工業鰍ゥらAURORAと呼ばれる超小型電子蓄積リングを光源とした放射光加速器を購入いたしました。注目すべきことは、これがすべて同窓会の寄付によって賄われたということであります。当時、全国共同利用施設として、フォトン・ファクトリー(PF)、UVSORはございましたが、SPring-8もまだ完成しておりませんでした。したがって、我が国では大学附置の初めての施設でありました。1996年1月には運転を開始し、4月からは学内外のユーザーによる利用実験を開始いたしました。その後、いくつかの放射光施設が建設されましたが、現在でも、私学唯一の放射光施設であります。
立命館大学所属の施設でありますので、学内の教員の研究に利用されるのはもちろんですが、学生の教育にも活発に利用されており、特長ある学部教育の一環として、学部3回生の学生実験等のカリキュラムにも組み込まれております。
これまでの大きな成果として挙げられますのは、2002年にSRセンターに関連した二つのプロジェクトが21世紀COEに採択されたことであります。また、2009年度から2015年度まで、NEDOプロジェクト「革新型蓄電池高度解析技術開発事業RISING」分散拠点に採択され、軟X線XAFSを用いた蓄電池材料解析手法の高度化に取り組んできました。この後継事業として、2016年度から2020年度まで、RISING2に採択され、SRセンターでは高度な電池材料解析に鋭意取り組んできました。2021年度からは、さらに後継事業であるRISING3(電気自動車用革新型蓄電池開発事業)に採択となり、現在に至っております。
一方、2002年、文部科学省ナノテク支援事業に採択され、SPring-8と共に、企業を中心にした外部ユーザーに利用公開されることとなりました。その後、後継事業でありますナノプラットフォーム事業、さらに、2010年度から2015年度まで共用促進プラットフォーム事業の参画機関として、補助金を得て外部の成果公開利用の支援をしてまいりました。2016年度から2020年度まで、光ビームプラットフォーム事業として、文部科学省からの補助はなくなりましたが、立命館大学の補助により、引き続き、成果公開型利用として、学術利用・産業利用の外部利用に対して支援を行っております。なお、この間、当SRセンターにおいて得られました多種のXAFSスペクトルをデータベースとして、公開をしております。
現在、SRセンターでは12本のビームラインが稼働しております。その内訳は、XAFS, PESなど分光ビームライン10本、軟X線顕微鏡ビームライン1本、赤外顕微鏡ビームライン1本でございます。なお、上述のように、ESCA装置も加わりました。当SRセンターは赤外から硬X線までの放射光を利用できる小回りのきく施設であることが大きな特長でありますことから、改めまして皆様の活発なご利用を何卒よろしくお願い申し上げます。
(2022年6月)
2019年4月から立命館大学SRセンター長に就任いたしました小島一男でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
前センター長の太田俊明先生には、2006年度から2018年度までの13年間にわたり、センター長として当センターの格段の発展に多大なるご貢献をしていただきました。厚く感謝申し上げます。なお、太田先生には、立命館大学総合科学技術研究機構上席研究員・SR センター研究顧問として、引き続きご指導をいただいております。
さて、立命館大学にSRセンターが設立されましたのは、びわこ・くさつ(BKC)キャンパスに理工学部が移転して2年目の1996年でございます。「新キャンパスの目玉となる最先端施設を導入する」という目的で、住友重機工業鰍ゥらAURORAと呼ばれる超小型電子蓄積リングを光源とした放射光加速器を購入いたしました。注目すべきことは、これがすべて同窓会の寄付によって賄われたということであります。当時、全国共同利用施設として、フォトン・ファクトリー(PF)、UVSORはございましたが、SPring-8もまだ完成しておりませんでした。したがって、我が国では大学附置の初めての施設でありました。1996年1月には運転を開始し、4月からは学内外のユーザーによる利用実験を開始いたしました。その後、いくつかの放射光施設が建設されましたが、現在でも、私学唯一の施設であり、2019年度に24年目を迎えました。
立命館大学所属の施設でありますので、学内の教員の研究に利用されるのはもちろんですが、学生の教育にも活発に利用されており、特長ある学部教育の一環として、学部3回生の学生実験等のカリキュラムにも組み込まれております。
これまでの大きな成果として挙げられますのは、2002年にSRセンターに関連した二つのプロジェクトが21世紀COEに採択されたことであります。また、2009年度から2015年度まで、NEDOプロジェクト「革新型蓄電池高度解析技術開発事業RISING」分散拠点に採択され、軟X線XAFSを用いた蓄電池材料解析手法の高度化に取り組んできました。この後継事業として、2016年度からRISING2が5年間プロジェクトとしてスタートいたしました。SRセンターでは高度な電池材料解析に日々鋭意取り組んでおります。
一方、2002年、文部科学省ナノテク支援事業に採択され、SPring-8と共に、企業を中心にした外部ユーザーに利用公開されることとなりました。その後、後継事業でありますナノプラットフォーム事業、さらに、2010年度から2015年度まで共用促進プラットフォーム事業の参画機関として、補助金を得て外部の成果公開利用の支援をしてまいりました。2016年度からは、光ビームプラットフォーム事業として、文部科学省からの補助はなくなりましたが、立命館大学の補助により、引き続き、成果公開を原則とした学術利用、産業利用の外部利用に対して支援を行っております。
現在、SRセンターでは12本のビームラインが稼働しております。その内訳は、XAFS, PESなど分光ビームライン10本、軟X線顕微鏡ビームライン1本、赤外顕微鏡ビームライン1本でございます。赤外から硬X線までの放射光を利用できる小回りのきく施設であることが大きな特長でありますことから、皆様の活発なご利用を歓迎いたします。(2019年6月)
放射光とは、高いエネルギーを持って光に近い速度になった電子の進む軌道が電磁石の力で曲げられたときに、その接線上に放射される強い光(電磁波)のことです。
放射光は、1億分の1センチメートルというような原子や分子の世界をはっきりと見ることのできる、まっすぐに進む(指向性の強い)明るい(輝度の高い)光です。その性質を利用して次のようなことができます。
光源が非常に小さく、また装置自身が放射線を遮断する構造であるため、光源点から約3 mという極めて接近した距離で、光の利用が可能です。このため、試料位置で高い光子密度を得ることができます。
赤外線からX線までの連続波長を持つ放射光。SRセンターの光源が発生する放射光は波長が約1.5 nm(Photon Energyでは約840 eV)で光子密度が最大になるため、特に軟X線領域での利用について有効となります。
単体の超伝導磁石を用いた真円型軌道の蓄積リングのため、電子ビームの安定性が非常に良いという特長を持っています。電子ビームサイズは、通常運転モードで縦方向140 μmの偏平な電子ビームです。またスモールサイズビームモードでは、縦方向のビームサイズが10 μmとなります。
蓄積エネルギー Operating electron energy |
575 MeV |
---|---|
ビーム電流 Electron beam current |
300 mA |
臨界波長 Critical wave length emitted X-rays |
1.5 nm |
ビーム寿命 Electron beam lifetime |
200 minutes (※) |
磁場強度 Bending magnetic field |
3.8 T |
軌道直径 Orbit diameter |
1.0 m |
RF周波数 RF frequency |
190.86 MHz |
ハーモニック(バンチ)数 Harmonic number |
2 |
入射エネルギー Injection energy |
150 MeV |
ビームサイズ (σ) Typical beam size |
水平方向 Horizonal: 1.3 mm 垂直方向 Vertical: 0.14 mm |
放射光利用可能ポート数 Number of beam ports |
14 |
周長 Circumference |
3.14 m |
※ 光源内部に赤外用ミラーを設置したため、従来値より減少しております。