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2013.01.23

生命科学部生物工学科の福田青郎助教が2012年度立命館大学生命科学部若手教員奨励賞を受賞

生命科学部生物工学科の福田助教青郎助教が2012年度生命科学部若手教員奨励賞を受賞しました。

顕著な研究業績をあげた39歳以下の生命科学部所属若手教員を表彰し、併せて生命科学部の研究力向上に資することを目的に2011年度に設けられた賞であり、学部内での選考の結果、福田青郎助教の受賞となりました。表彰と受賞者の講演は以下の日程で行われます。
   
表彰式日時:2013年1月31日(木)14:40-15:30
表彰式会場:コアステーション2階 大会議室

<研究題目>
極限環境に生きる微生物

<研究業績・要約>
申請者は、極限環境に生息する微生物、特に熱水環境に生息する超好熱菌や、南極より単離された微生物を対象として研究を行っている。
いくつかの超好熱性アーキアのゲノム上には、過去のウイルス感染に由来すると考えられる遺伝子領域が存在する。超好熱菌Thermococcuskodakarensisにもウイルスゲノムが挿入されて形成されたと推測される領域が4ヵ所存在する。しかしT. kodakarensisはウイルス粒子を形成しないため、これらウイルス様領域の存在意義は謎であった。そこで4つのウイルス様領域の存在意義を明らかにすることを目的として、ウイルス様領域遺伝子破壊株の解析を行った。その結果ウイルス様領域の欠損が生育に悪影響を与えることや、アミノ酸代謝関連遺伝子の転写に影響を与えることが明らかになった(学術論文1)。
また南極は地球上で最も寒冷で、調査が困難な地域である。これまでに申請者は南極由来の環境試料より単離された新属・新種の2種類の細菌についてその珍しい特徴を明らかにし、新分類群の提案を行った。その一つがカラフルな岩石より単離された、細胞が枝豆状に連なった連鎖菌Constrictibacterantarcticus(南極由来の、くびれを持つ棒の意味)である(学術論文5)。また他方が淡水湖より単離された多数の突起をもつ細菌Rhodoligotrophosappendicifer(突起物を持った、赤色の貧栄養性細菌の意味)であり、本菌ゲノムを用いてDNAの構造変化に関する解析も行った(学術論文3、4)。さらに別の南極淡水湖湖底サンプルより単離されたプロテアーゼやアミラーゼなど様々な分解酵素を生産する細菌Lysobactoroligotrophicus(貧栄養性のLysobactor属細菌の意味)の新種としての提案や、本菌が生産する暗褐色色素に関しても研究を進めている。

<学術論文>
(1) “Genetic studies on the virus-like regions in the genomeofhyperthermophilicarchaeon, Thermococcuskodakarensis.”
Tagashira, K., Fukuda, W., Matsubara, M., Kanai, T., Atomi, H., Imanaka, T.
Extremophiles, 2012年(in press)(査読有り) <インパクトファクター2.941>
(2) “Indole-3-glycerol-phosphate synthase is recognized by a cold-inducible group II chaperonin inThermococcuskodakarensis.”
Gao, L., Danno, A., Fujii, S., Fukuda, W., Imanaka, T., and Fujiwara, S.
Applied and Environmental Microbiology,78巻11号, 3806-3815貢, 2012年 (査読有り) <インパクトファクター3.829>
(3) “Rhodoligotrophosappendicifer gen. nov., sp. nov., a bacterium with projections isolated from a lake in Skarvsnes, Antarctica.”
Fukuda W., Yamada, K., Miyoshi, Y., Atomi, H. and Imanaka, T.,
International Journal of Systematic and Evolutionary Microbiology, 62巻, 1945-1950貢, 2012年 (査読有り)  <インパクトファクター2.268>
(4) “Critical behavior of megabase-size DNA toward the transition into a compact state.”
Yosikawa, Y., Suzuki, Y., Yamada, K., Fukuda, W., Yoshikawa, K., Takeyasu, K. and Imanaka, T.
Journal of Chemical Physics, 135巻, 225101-225107貢,2011年(査読有り) <インパクトファクター3.333>
(5) “Constrictibacterantarcticus gen. nov., sp. nov., a cryptoendolithic microorganism in antarctic white rock.”
Yamada. K., Fukuda, W., Kondo, Y., Miyoshi, Y., Atomi, H. and Imanaka T.
International Journal of Systematic and Evolutionary Microbiology,61巻8号, 1973-1980頁, 2011年(査読有り) <インパクトファクター 2.268>