研究科長挨拶Message from the Dean

森 裕之
立命館大学 政策科学研究科長

立命館大学政策科学研究科は、現代社会が直面する政策課題を正確に理解し、適切な解決策を創造するために不可欠な研究能力の育成と実務能力のステップアップをめざして、1997年に設立されました。

政策科学は、私たちが遭遇する様々な政策課題の解決をめざしながら、社会・自然科学そのものの刷新をめざす学問分野です。政策科学の研究を通じて、実践的な研究知をもった新しいタイプの研究者、政策領域の実務家を育成することが、政策科学研究科の人材育成目標です。

現実の政策課題は様々な側面を有しており、それらの理解と解決を推し進めるためには、政治学、行政学、法学、経済学、経営学、都市計画学、環境工学などの種々の学問領域での研究成果が活用されなければなりません。政策科学は多くの学問分野にまたがる学際的研究が必要となる総合科学としての性格を持ちます。このような学問はますます複雑化・細分化する世界においてさらに重要性を増しています。その上で取り組まれる各専門分野の研究は従来にない広がりと深みを持つことになり、それは既存の学問分野そのものの発展へとつながっています。

政策科学研究科は政策課題の解決を探究することから、現実の社会との接触を重視しています。本研究科は地方公共団体等に地域共創拠点と呼ぶ研究サイトを有し、大学院生は実務に触れながら、研究する機会を得ることもできます。研究から得られた知見については、その実例ごとにケースとしてポリシー・ベースに登録し、グローバルな利用に供していこうと考えています。本研究科の研究者や院生は、研究活動を通じて、これに貢献する機会が与えられます。

さらに、政策科学研究科ではプロジェクト型の共同研究の場を提供しています。これは、政策科学が複合的な性格をもっていることから構想されたものです。博士課程前期課程におけるリサーチ・プロジェクト、博士課程後期課程におけるリサーチセミナーがこれに当たります。ここでは、複数の教員と複数の院生が参加し、共同研究への参加を通じた大学院生の研究指導を行っています。

本研究科のもう一つの特長は国際性です。政策科学研究科では各国から多くの留学生が学んでいます。授業も日本語と英語が併用され、さまざまな機会を通じた国際的な学生間交流が活発に行われています。それらは多様な社会文化を背景に持つ者同士が自分たちの視野を広げ、新たな研究領域を開拓していくための貴重な機会となっています。

本研究科のもつこのような特徴を十分に活用し、政策科学の研究を行うことにより、社会問題に取り組むより高い能力を身につけた人材を輩出することが本研究科の目標です。