主たる研究内容は、「市場が激しく変化する中で企業はいかに持続的に高いパフォーマンスを確保できるのか」について理論的に明らかにすることである。なかでも、現在取り組んでいるのが「ダイナミック・ケイパビリティ論」研究である。「ダイナミック・ケイパビリティ（以下、DC）」とは、変化する市場において、新しい事業機会を「感知」し、その実現のために企業内外の資源を「再構築」する能力である。具体的にそれは、企業家機能の発揮を通じて競合他社が模倣できない強みを構築することである。本研究では、主にオーストリア学派経済学で体系化されてきた「企業家論」や「知識論」に基づき、DC研究の理論的課題に着手している。

また関連して、最近では地方政府や国家が発揮すべき企業者機能にも関心を持っている。周知の通り、限られた資源や財源の中では、試行錯誤を通じて創意工夫する企業者の役割がより一層重要になることは明白であるからである。今後はこの点についても掘り下げていきたいと考えている。

ダイナミック・ケイパビリティ、RBV、組織能力、企業家、経営学、経営戦略