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12月24日「資源循環と持続可能な環境戦略RP」オープンリサーチを開催しました

「原子力発電について考えてみませんか?」--長野恒己氏

2011年東日本大震災により起きた福島第一原発事故で、日本のみならず世界中で反原発運動が高まっています。2013年末現在、日本国内にある全50基が停止しており、再稼働が未定の状況になっていますが、皆さん原子力発電どう考えていますか。2013年12月24日(火)に、立命館大学政策科学研究科「資源循環と持続可能な環境戦略RP」が立命館大学衣笠キャンパスにおいてオープンリサーチを開催しました。

研究会では、公益社団法人日本技術士会ながの技術士事務所の長野恒己先生に、専門家の視点から原子力発電について詳しく紹介して頂きました。長野先生は、大阪大学工学部卒後、三菱重工業神戸造船所で原子力プラント設計部次長、再処理(核燃料)プラント設計部部長を経て、三菱重工業子会社の旧神菱ハイテックで技術統括(原子力周辺設備、水処理施設など)取締役・顧問など、一貫して原子力プラント設備設計に従事されました。

今回は、エネルギー歴史、原子力年表、原発数、原子力発電の状況、放射線、新安全性基準などについて、詳細な事例やデータを基に、工学的視点のみならず、社会学的視点から丁寧に講義されました。原子力発電のメリットとデメリットを深く理解でき、また、放射線が外部に漏れないように、フィルター付きベントを設定するなどを通じて、原子力発電再稼働ための安全審査新規制基準についても紹介されました。

日本の現在の発電状況は、原発の代わりにコストが比較的高く環境負荷も高い化石燃料を使う火力発電に依存しており、原材料コスト増加に伴い電気料金も増加しています。最終的には企業経営や市民生活にも負担を強いることにつながることが説明されました。

本研究会では、原子力発電に対しての賛否双方の意見がありました。長野恒己先生の講義に、政策科学研究科教授周瑋生先生の解釈を加え、並びに院生たちとの活発なディスカッションを通して、エネルギー政策の3原則(経済性、安全性、環境性)、並びに時間軸、地域軸など多元的視点から、ベストミックス的な政策設計が求められ、これからは、単純な原子力発電の賛成または反対の二分法よりも、日本ひいては世界のエネルギー供給問題を考えながら、原子力発電の安全対策に力を入れ、理性的に考える必要があるという認識に至りました。今回のオープンリサーチは、研究の視座を広げるとても有意義な会となりました。
(政策科学研究科M1 林祥偉 筆)

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