ニュースNews

2024年1月18日(木)オープンリサーチ「福祉ロボットとケアの未来」が開催されました!

 政策科学研究科では2024118日(木)にオープンリサーチ「福祉ロボットとケアの未来」が開催されました。ゲストスピーカーとして、アイルランド国立大学ダブリン校(UCD)社会科学・法学部の小舘尚文准教授が講演されました。アイルランドを中心に欧州の社会政策の特徴と介護ロボットなどのテクノロジーの活用の展望と課題について、最新の研究動向も交えてお話いただきました。講義での問題提起と講義で示されたことは次の通りです。

 革新的なテクノロジーとケアの関係は、アカデミアだけではなく、政府、産業界、医療・介護従事者において長い間、政策議論や共同研究の焦点となって来ました。近年のパンデミックによって、これまでの福祉国家や社会政策のあり方が問われる中で、日常生活及び様々な作業を非接触で行う実現技術の重要性はさらに注目を浴びています。一方、医療・介護領域に、テクノロジーを持ち込むということに対しては、プライバシーや安全上の懸念、また専門職を含んだ利用者の志向やニーズが反映されているのかといった点でも課題が残ります。

本講義では、欧州の社会福祉をめぐる現状と、認知症ケアにおける生活支援機器・技術の活用の展望と課題についてアイルランドを事例として説明されました。実際に開発された様々なタイプの介護ロボットも事例として取り上げられました。世界的に高齢化が進む中、ケアの未来にとって福祉ロボットなどの生活支援技術の活用がどのような意味を持つのか、学際的・領域横断的調査を基にした海外の先行研究やオリジナルデータも示しながら、社会・文化・政策の課題についての議論が展開されました。なお、この講義は日本語と英語の両言語の対応で行われました。

小舘先生の講義の後で、政策科学研究科の教員、さまざまな国から来ている日本語基準と英語基準の大学院生、学部生など数十名の参加者間との質疑応答が行われました。教員、大学院生、学部生のそれぞれの複数名から講義内容に関わる質問が出され、それらへの小舘先生からの回答があり、双方向型の活発で有意義な議論がされました。

世界の主要国の中で最も高齢化が進んでいる日本では、介護需要の増加と介護現場の人手不足の問題があり、介護ロボットの開発や導入は福祉分野の重要な政策課題となっています。アイルランドについての先行的な研究の成果から、日本における介護ロボット導入の受容や社会実装をめぐる課題、推進要因の検討に対して、多くの示唆が得られました。アイルランドからのリアルタイムでのオンライン講義で、ゲストスピーカーの小舘先生からの最先端の話題の提供と参加者との対話を通じての研究交流があり、大学院政策科学研究科の「リサーチ・プロジェクト」(大学院ゼミ)における一つのプロジェクトが掲げる「多元的な福祉・経済社会」のテーマを考える上でも役立つ学びが得られました。

(ニュース)240118-01


(ニュース)240118-02



(ニュース)240118-03



  • HOME
  • ニュース
  • 2024年1月18日(木)オープンリサーチ「福祉ロボットとケアの未来」が開催されました!