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井上 充幸 先生(文学部)

 


『明末清初』
福本 雅一 著([1集], 2集. 同朋舎出版, 1984-1993.)

"癖(ヘキ)"とは,自分の好きな対象に命がけでのめり込む精神のありようを示す言葉である。この本に登場する,自らの"癖"に殉じた人々の生き様の中にこそ,高貴さと俗悪さが極端なコントラストを描きつつない交ぜになった,明末清初という時代のエートスが体現されている。

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『明清交替と江南社会 : 17世紀中国の秩序問題』
岸本 美緒 著(東京大学出版会, 1999.)

激動の時代を生きた江南の人々は,世の中をどう捉え,感じ,行動したのか?彼らの視点に立ち,その様子をダイナミックに描き出す,著者の手並みの鮮やかさには,読み返すたびに感服させられる。高度な専門性を保ちつつ,一読巻を措くあたわざる面白さに満ちた,"知的興奮"の書。同じ著者による『東アジアの「近世」』(山川出版社, 1998. (世界史リブレット ; 13))も,入門書としておすすめ。

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『「清朝考証学」とその時代 : 清代の思想』
木下 鉄矢 著(創文社, 1996. (中国学芸叢書 ; 2))

ともすれば"旧套墨守"を旨とする,無味乾燥な学問と思われがちな清朝考証学。そんな陳腐なイメージを,著者は見事に覆してみせる。厳しい思想統制の最中にあって,知の探求を決して諦めなかった考証学者たちの情熱は,時空を越えて私たちの魂を揺さぶる。学問することの喜びと感動が,そこにある。

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『中国近世の霊魂泥棒』
フィリップ ・ A ・ キューン 著 谷井俊仁, 谷井陽子 訳(平凡社, 1996.)

18世紀の中国を震撼させた,"霊魂泥棒"による連続辮髪切断事件。乾隆帝の命令一下,清朝政府は捜査に乗り出すが,謎は深まっていくばかり。果たして怪事件の真相は?そして"乾隆盛世"を密かに蝕む不気味な力の正体とは?研究書として,また歴史ミステリーとしても一級品。

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『近代中国史』
岡本 隆司 著(筑摩書房, 2013. (ちくま新書 ; 1019))

いまや世界経済を牽引する中国,その社会や経済のありようは,何故かくも複雑怪奇で矛盾に充ちているのか?「中国の謎は経済に極まり、それを知る鍵が歴史にある」と主張する著者が,その仕組みを解き明かす。中国のこれからを知りたい人にこそ勧めたい,目からウロコの書。先史時代から現在までを網羅した岡本隆司編『中国経済史』(名古屋大学出版会, 2013.)も必読。

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『シルクロードの水と緑はどこへ消えたか?』
日髙敏隆, 中尾正義 編(昭和堂, 2006. (地球研叢書))

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『地球環境学と歴史学 : シルクロード、カラ=ホト遺跡共同調査プロジェクト体験記』
中尾 正義 著(山川出版社, 2015.)

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過去から現在に至るまで,人間と自然は互いにどう関わり合ってきたのか?その歴史的過程を解明するため,文系・理系各分野の研究者たちが集い,オアシスプロジェクトが発足した。果たして"文理融合"は成功したのか?彼らの挑戦と共同研究の成果を紹介し,課題点を問い直す。恥ずかしながら,プロジェクトの一員でもあった私も,中尾正義編『オアシス地域の歴史と環境 : 黒河が語るヒトと自然の2000年』(勉誠出版, 2011.)にて成果をまとめましたので,こちらもめくってみてください。


『鬼趣談義 : 中国幽鬼の世界』
澤田 瑞穂 著(中央公論社, 1998. (中公文庫 ; さ42-1))

孔子様の戒めもなんのその,古来,中国の人々は"怪力乱神"を語るのが大好物。彼らの語る怪談は,何故かくもリアリティ豊かなのか?それは,今なお中国には幽霊や妖怪が実在しているから。かつて中国の奥地でヤツを見てしまった,この私が言うんだから間違いありませんっ!柳田国男や水木しげるのお好きな方,どうぞご一読を。

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『華国風味』
青木 正児 著(岩波書店, 1984. (岩波文庫 ; 青33-165-1))

世にグルメ本は数あれど,中国文学研究の泰斗がその蘊蓄を傾け尽くした本書こそ,中国の食文化を語る上で,ひいては食を学問する上で不可欠の"古典"といえよう。とりわけ酒にまつわるエッセイは,左党には堪えられないものがあり,ついつい一杯やりたくなること必至。

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『キリン伝来考』
ベルトルトト ・ ラウファー[著] 福屋 正修 訳(博品社, 1992. (Documenta historiae naturalium))

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『スキタイの子羊』
ヘンリー ・ リー, ベルトルト ・ ラウファー[著] 尾形 希和子, 武田 雅哉 訳(博品社, 1996. (Documenta historiae naturalium))

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今も昔も,遙か彼方の見知らぬ土地と,そこに住む生き物に対する憧れは,人間の想像力をかき立ててやまない。あの首の長い動物は,なぜキリンと呼ばれるようになったのか?中世ヨーロッパの人々を魅了した"植物子羊"の正体は?古き良き時代の博物学の醍醐味を満喫してほしい。このほか,博品社から刊行されたDocumenta historiae naturaliumシリーズは,澁澤マニアや荒俣ファンならずともお楽しみいただけること請け合いである。


『久生十蘭短篇選』
[久生 十蘭 著] 川崎 賢子 編(岩波書店, 2009. (岩波文庫 ; 緑-31-184-1))

『定本久生十蘭全集』(国書刊行会, 2008-2013.)の刊行により,ようやくその全貌が明かされた "文体の魔術師"久生十蘭による短編作品集。作者の語りに誘われるまま,いつの間にか異界との境を踏み越えてしまっている自分にふと気づく,そんな濃密かつ鮮烈な読後感を味わってしまったあなたは,きっともう普通の小説では満足できなくなってしまうはず…。河出文庫の傑作選シリーズも是非。

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