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川村 仁子 先生(国際関係学部)

2015.12.01


『政治学』
アリストテレス 著 ; 山本 光雄 訳 (岩波書店 , 1961)

アリストテレスが書いた政治学に関する文書は、残念ながらほとんどが散逸しており、現在読むことができるのは本書と『アテナイ人の国制』のみです。当時の都市国家(ポリス)や周辺諸国の政治を研究して6つの政体に分類し、「ポリス的動物(zoon politikon)である」人間にとって最善の政体とは何かについて考えた本です。アリストテレスは民主制をどのように考えていたか、古代の話と侮るなかれ。現代の政治が抱える課題に対しても示唆に富む一冊です。

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『アレクサンドリアの興亡 : 現代社会の知と科学技術はここから始まった』
ジャスティン ・ ポラード , ハワード ・ リード 著 ; 藤井 留美 訳 (主婦の友社 , 2009)

現在は本当に過去より「進んだ」時代なのか?古代都市アレクサンドリアには、世界の知を結集させた図書館がありました。そこでは、知の創造と実験が繰り広げられ、地球が丸いことも、地球が太陽の周りを回っていたことも知られていて、天体観測用の機械までありました。しかし、知とは簡単に忘れ去られるもの。図書館の焼失後、人類が再びその知を手に入れるには何世紀も要することになります。アレクサンドリアの図書館が残っていれば、今はどんな時代だったのだろうかと考えずにはいられません。

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『中世の覚醒 : アリストテレス再発見から知の革命へ』
リチャード ・ E. ルーベンスタイン [著] ; 小沢 千重子 訳 (紀伊國屋書店 , 2008)

実は、ヨーロッパで古代の哲学・思想が忘れ去られていた時期がありました。では、どうして今私たちはアリストテレスの『政治学』が読めるのか?イスラム世界に残っていたからです。それがヨーロッパに逆輸入されたとき、キリスト教社会に激震が走り、理性と信仰の相克が始まります。それがルネサンス、ひいては近代を準備することになったのです。中世がいかに面白い時代であったのかがよくわかる本です。

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『ディスコルシ』
マキァヴェッリ [著] ; 永井 三明 訳 (筑摩書房 , 1999)

マキャヴェッリといえば、『君主論』ですが、ぜひ合わせて読んで欲しいのがこの本です。マキャヴェッリは、アリストテレスによる6つの政体の分類を引き継ぎ、たとえ最初は良い政体であったとしても全て堕落する、では、どのような政体が良いのか、と考えをめぐらせます。そして、彼が理想としたのが共和政ローマです。しかし、共和政ローマに憧れつつも、現実への失望から強力な君主への期待を高めることになるのです。

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『永遠平和のために』
カント 著 ; 宇都宮 芳明 訳 (岩波書店 , 2009)

三大批判書で有名なカントが、戦争を「最も大なる禍悪」であると考え、「永遠の平和」を実現するためにはどうすれば良いのかを真剣に考えた小論文です。長い文章ではありませんが、ここにはカントの哲学・思想のエッセンスが凝縮されています。出版から200年以上が経ちましたが、歴史的に繰り返しその真価を試されながら、いつの時代においても価値ある何かを語ることで、過去と現在の双方を繋いでいます。

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『ファウスト』
[ゲーテ 著] ; 森 林太郎 訳 (筑摩書房 , 1996)

あらゆる学問を習得したはずなのに、何か物足りないファウスト博士が、悪魔と契約し、アンチエイジングして、時空を超えて大冒険する話です。恋あり、別れあり、笑いあり、涙あり、ホムンクルスありのファンタジーと恋愛小説、SFを縫い合わせたような物語には、ドイツの精神とヨーロッパで脈々と受け継がれてきた「普遍への憧れ」が織り交ぜられています。私も「刹那」に向かって「止まれ、お前はいかにも美しいから」と言えるほど、最高の瞬間を生きてみたいものです。

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『朝の影のなかに』
ホイジンガ [著] ; 堀越 孝一 訳 (中央公論社 , 1975)

本書は、ナチスが政権を掌握し悲劇の足音が大きくなる戦間期のヨーロッパで、『中世の秋』や『ホモ・ルーデンス』で有名なオランダ人学者のホイジンガによって書かれたエッセイです。彼はナチスを批判したがために、強制収容所に収監されたのち軟禁状態のなかで亡くなります。戦間期の状況に似ていると言われる今こそ、「憑かれた世界」に生きながらも、なお希望を失わなかったホイジンガの言葉に耳を傾けたいです。

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『共通価値 : 文明の衝突を超えて』
シセラ ・ ボク 著 ; 宮川 弘美 訳 (法政大学出版局 , 2008)

スウェーデンの哲学者であるシセラ・ボク(両親ともにノーベル賞受賞者!)は、本書において、彼女自身が「砂漠にうち捨てられた貯水池」のようだと言う、世界規模の倫理の企てに挑戦しました。画一的価値の広がりと文化的多様性の尊重というパラドクスを常に抱えている今日、国や文化の違いを超えて、私たち人間に共通する価値はあるのか?それはどのようなものか?を問う本です。

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『法と時間』
千葉 正士 著 (信山社 , 2003)

あまり論じられることのない法と時間の関係をテーマにした論文集です。私たちは画一的な時間と法のなかで生活していると思いがちです。しかし、法も時間も社会的・文化的産物であり、私たちは私たち自身が考えている以上に多様な時間、多様な法のなかで生きているということを自覚することができます。

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『国際法社会学の理論 : 複雑システムとしての国際関係』
廣瀬 和子 著 (東京大学出版会 , 1998)

国際法社会学とは聞きなれない分野かもしれませんが、国際関係がより「社会」に近づきつつあるなかで、国際関係における国際法の機能を社会学の理論を用いて分析する学問です。本書は、国家が国際問題に直面したさいにどのような行動をとるのかについて、自国の利益(利益システム)および自国が国際社会に期待される役割(役割期待システム)、そして国際法や国内法(シンボル・システム)の3つのシステムから観察する方法を提供してくれます。

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『雨のことば辞典』
倉嶋 厚, 原田 稔 編著 (講談社 , 2014)

この本には、「雨」をさすことばや、「雨」にまつわることばが1200語も収録されています。雨という一つの自然現象に対して、古来より人々はこんなにも様々な思いをめぐらせてきたのかと、驚くばかりです。移ろいゆく季節のなかで、雨を待ち、雨に悩み、雨を愛でてきた美しいことばを見つけることができる一冊です。

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