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宋 基燦 先生(映像学部)

2016.06.07


『日常人類学宣言! : 生活世界の深層へ/から』
松田 素二 著 (世界思想社 , 2009)

かつて「文化」という概念は人類学にとって非常に便利なものであったが、もはや今は人類学の可能性を制限している難題となった。本書は人類学が直面したこのような閉塞を突破すべく、「文化」から私たちの日々の実践が行われている人間の生活世界、すなわち「日常」に着目する。人類学の過去、現在、未来がわかる書物である。

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『「語られないもの」としての朝鮮学校 : 在日民族教育とアイデンティティ・ポリティクス』
宋 基燦 著 (岩波書店 , 2012)

自分の拙著を推薦するのは、確かに厚かましいことであろう。しかし、朝鮮学校という日本最大の外国人学校組織に関する研究書(外部の研究者による)はあまりないのでここで紹介する。また、韓国人留学生だった著者が、その恩師である松田素二から受けついたアイデアを、新しい在日コリアンのアイデンティティ論として展開していくところは、留学による知識の継承に興味がある人にも面白い筈。

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『私の西洋美術巡礼』
徐 京植 [著] (みすず書房 , 1991)

「在日朝鮮人」というエスニックグループを大きな研究テーマとしている私にとって、在日朝鮮人という存在との初めての出会いはこの本であった。当時は日本語を読めなかったため韓国語に訳されたものを読んだ。素晴らしい文章から滲み出る不安、悲しみ、憧れ、そして憂鬱は、今まで経験したことのない感動を与えてくれたが、それがマイノリティの感受性であることを理解できたのは在日朝鮮人の研究を始めてからであった。

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『ディアスポラ紀行 : 追放された者のまなざし』
徐 京植 著 (岩波書店 , 2005)

在日朝鮮人、すなわち在日コリアンは、東アジアの近現代史の国民国家から追い出された存在である。しかし、それは必ずしも「悲しいこと」ではない。国民国家という「楽園」から追放されたものであるが故に見えてくるものがあり、感じられるものがある。マイノリティは相対的なもので、誰にもマイノリティ性は持っている。この本は、自分のなかに潜んでいるマイノリティの感受性を刺激し、芸術と、そして世界と共感する能力を育ててくれる。

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『在日朝鮮人ってどんなひと?』
徐 京植 著 ; 山本 明子, 市川 はるみ 編 (平凡社 , 2012)

日本の在日コリアンを研究している私としては、自分の研究の話をする際必ずぶつかる問題がある。それは、在日朝鮮人という存在について、その歴史的背景からいちいち説明しなければならないことである。日本の歴史と社会に組み込まれ、日常生活の一部になっている在日朝鮮人という存在について基本的なことを知ってほしい。

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『獄中19年 : 韓国政治犯のたたかい』
徐 勝 著 (岩波書店 , 1994)

『私の西洋美術巡礼』の徐京植さんの文章に漂う憂鬱と不安は、彼の兄である徐勝さんが韓国で政治犯として投獄されていたことから始まる。そのため、この本は『私の西洋美術巡礼』と一緒に読むことを薦める。徐勝さんは解放された後、本学法学部の教員となり、比較人権法などを教え、2011年に退職した。

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『徐勝の東アジア平和紀行 : 韓国、台湾、沖縄をめぐって』
徐 勝 著 (かもがわ出版 , 2011)

『獄中19年』は、人権と民主主義が抑圧されていた時代の記録でもあるが、そのような時代を戦い抜いた経験を持つ人を大学の教員として迎え入れたことは、本学の人権意識の高さと、民主主義を守ることへの意志が窺える。本書は、徐勝さんが本学に着任してから展開してきた研究と平和運動の記録でもあり、東アジアにおける国家暴力の歴史と構造にせまりつつ、人権回復への道を提示している。

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『ヒロシマを持ちかえった人々 : 「韓国の広島」はなぜ生まれたのか』
市場 淳子 著 (凱風社 , 2005)

オバマ米大統領の広島訪問は、アメリカによる「和解のモデル」の提示という意味で、東アジアに示唆するものが大きい。ところが、アメリカと日本という国家間の和解のようにみえるこのイベントの裏に、被爆当時8万人の朝鮮人が広島にいて、その内5万人が被爆していたことは隠されている。本書は当時広島で被爆して、終戦後朝鮮に帰った人々の戦いを、30年以上支援してきた日本人運動家たちの記録である。

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『天皇の逝く国で』
ノーマ ・ フィールド [著] ; 大島 かおり 訳 (みすず書房 , 2011)

著者のノーマ・フィールドは、アメリカ軍の占領期にアメリカ人の父と、日本人の母の間で生まれた人である。このように日本の現代史そのものを出生の背景にしている彼女は、高校卒業後アメリカにわたり、現在はシカゴ大学の教授である。本書は彼女が日本に戻り、昭和の終焉を目撃しながら書いたエッセイである。民主主義の退行、全体主義の復活が懸念される今日、本書を読みなおすことで何かと答えを見つかるのではないか。

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『「日本人」の境界 : 沖縄・アイヌ・台湾・朝鮮 植民地支配から復帰運動まで』
小熊 英二 著 (新曜社 , 1998)

自分自身がなぜ「日本人」であるかについて考えたことがあるか?両親が「日本人」だから当たり前に「日本人」となったのか?では、両親は、そして祖先はいつから「日本人」だったのだろうか?敗戦後主権が停止されていた日本が、サンフランシスコ講和条約で主権国家に戻り、真っ先に行ったことが「日本人の境界」を決めることだった。それによって在日朝鮮人と在日台湾人は「日本人」から追い出されることになる。日本人の境界を探ることは、日本の近現代史の理解において最も重要な課題となる。

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『日本人「慰安婦」 : 愛国心と人身売買と』
「戦争と女性への暴力」リサーチ・アクションセンター編 ; 西野 瑠美子, 小野沢 あかね 責任編集 (現代書館 , 2015)

最近の日韓関係、日中関係における民族主義的対立は、「慰安婦」問題をも民族主義的被害と加害言説の次元にすり替えてしまう。このような状況では、客観的に判断することがむずかしくなってくる。しかし、本書は慰安婦問題の本質がどこにあるのかをはっきり示してくれる。この問題の解決のためには、狭い民族主義の奥に閉じ込められた議論からより根本的なところへと発想の転換が必要である。

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『日本/権力構造の謎』
カレル・ヴァン ・ ウォルフレン著 ; 篠原 勝 訳 (早川書房 , 1994)

日本の社会と文化に興味を持つようになった初期に読んだ本であるため、すこし古い書物になるが、責任を取る政治的中心をわざとおかないことによって統治がなされているという洞察は、20年以上が過ぎた現在の日本にも有効であり、日本社会を理解するうえで大きな参考となる。

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『エンデの遺言 : 根源からお金を問うこと』
河邑 厚徳, グループ現代 [著] (講談社 , 2011)

小学生や中学生の時代にミヒャエル・エンデの『モモ』を読んだ人は少なくないだろう。『モモ』は時間に追われた現代人を風刺したものといった「時間」に関するものと理解されがちだが、エンデ自身は『モモ』はお金に関する物語であると、この本で言っている。世界のあらゆる商品は時間とともに減価するのに、なぜお金だけは減価しないのだろう?減価する貨幣が世界を変えることができるという想像が『モモ』の本当の話だ。この本を読むと、目から鱗、当たり前に思われていた経済システムが変わって見える筈。

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『制御と社会 : 欲望と権力のテクノロジー』
北野 圭介 著 (人文書院 , 2014)

映像学部の教員北野先生の著作。映像学部における教学の特徴は、多様な学問分野と多様なメディア実践を総合し、横断しながら新たな知識と表現を生み出すことにあると言えよう。本書は、現代社会を理解する新たなキーワードとして「制御」を提示している。メディアとコミュニケーション、そして制御。現代社会理解の最も斬新かつ先端的理論がここにある。

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