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柳澤 伸司 先生(産業社会学部)

2017.12.01


『「空気」の研究』
山本 七平 著  (文春文庫, 1983)

最近は「KY」という言葉も耳にしなくなった。それでも「空気が読めない」「空気を読め」などと「空気」が人々を拘束したりする。日本の社会や組織、人間関係は、ある種の概念を絶対化する。ときには責任を「空気」に転嫁して問題を先送りしてしまう。そんな「空気」に支配される社会の特質を読み解いた原典。

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『一九八四年 新訳版』
ジョージ・オーウェル 著、高橋和久 訳 (ハヤカワepi文庫,2009)

「テレ・スクリーン」によって常に日常生活が監視され、思考が管理される。そんな全体主義の究極ともいえる世界を描いた作品。小説の形をとっているが、オーウェルの提示した言語と思考方法を変える「ニュー・スピーク」「二重思考」は、今の世界を読み解く上で押さえておきたい概念かもしれない。

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『閉された言語空間 占領軍の検閲と戦後日本』
江藤 淳 著 (文芸春秋,1989)

第二次大戦後、占領軍GHQは日本の新聞・放送に対して周到な検閲を行った。検閲はそれを行うもの(占領軍)とされるもの(メディア)で「共犯関係」を作った。それによって何が失われ、形成されたのか。検閲によって思考が管理された事実は、現在の日本が抱える歴史認識の課題となっている。

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『増補 八月十五日の神話 終戦記念日のメディア学』
佐藤 卓己 著 (ちくま学芸文庫,2014)

8月15日といえば「終戦記念日」。日本ではそうなっている。だが、国際法上では9月2日に降伏文書を調印した日に戦争が終わった日なのだ。「終戦」とは何なのか。なぜ「降伏」ではないのか。対外的に意味を持たない8月15日が「終戦記念日」に選ばれた経緯にメディア学から正面から取り組んだ研究である。

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『敗戦後論』
加藤 典洋 著 (ちくま文庫,2005)

著者によると敗戦国日本の戦後は「ねじれ」ているという。ところが、その「ねじれ」が日本では「ねじれ」として受け止められていない。たとえば自分たちが戦争と無関係であるようなスタンス、そして「平和憲法」。戦後72年が過ぎたが、敗戦によってつくられた体制とどう向き合うか。本書で指摘された問題はいまだに残されたままだ。

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『知ってはいけない 隠された日本支配の構造』
矢部 宏治 著 (講談社現代新書,2017)

占領期以来、日米は軍事上の密約が続いている。第二次大戦に勝利した連合国(United Nations=国連)の集団安全保障体制に入ることを受け入れることによって、憲法9条では国家としての軍事力と交戦権を放棄するとした。日本は本当に主権国家なのか。戦後日本政治の根源的な問題が改めて問われている。

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『スラップ訴訟とは何か裁判制度の悪用から言論の自由を守る』
烏賀陽 弘道 著 (現代人文社、2015)

民主主義に自由な意見の表明や言論は不可欠だ。ところが、裁判制度を悪用して「争う公的な利益」がないにもかかわらず民事訴訟という公的なシステムを「浪費」させ、「政治的な恫喝」のために裁判を利用する。そんな民事訴訟によって民主主義が脅かされる。誰もが被害者になるかもしれない。著者自身の被害経験に基づく問題提起の書。

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『殺人犯はそこにいる隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件』
清水 潔 著 (新潮社,2013)

幼女誘拐殺人容疑の冤罪事件となった足利事件。その事件を追求していくうちに真犯人にたどり着いてしまう。ところが警察は動かない。真犯人は野放しのままだ。警察や記者クラブでの発表を報道する記者とは異なり、事件そのものを追いかける清水氏のような人こそジャーナリストと呼ぶにふさわしい。「調査報道のバイブル」である。

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『科学報道の真相 ジャーナリズムとマスメディア共同体』
瀬川 至朗 著 (ちくま新書,2017)

マスメディア・ジャーナリズム(報道)への信頼感が揺らいでいる。東電福島第一原発事故報道では「大本営発表」ではないかと報道への不信は高まった。本書は日本の科学報道を中心に報道機関が抱える課題を整理する。原発事故のほかSTAP細胞事件、地球温暖化などを検証している。

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『世論 上・下』
ウォルター・リップマン 著、掛川 トミ子 訳 (岩波文庫,1987)

私たちは事実ではなく与えられたイメージ「疑似環境」と与えられた「ステレオタイプ」にしたがって物事を見ているといった概念を提唱した古典的名著。本書の出版からおよそ100年を経た今、見たい物しか見ない、様々な決めつけなど、それが「フェイク・ニュース」「ポスト真実」となって現れているのかもしれない。「世論」の危うさでもある。

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