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芳村 弘道 先生(白川静文庫)

2016.04.01

白川静文庫への誘い~白川静を知る10冊~

「白川静文庫」は、わが国の漢字研究の第一人者であり、2003年に文化勲章を受章された本学名誉教授の故白川静先生旧蔵の書籍・研究資料を収蔵した文庫です。平井嘉一郎記念図書館の開館を機に、文庫の一部をここに開架いたしました。白川先生の教えを受けた芳村先生に、学部生の皆さんを中心にまずは手にとって欲しい、白川先生の思想や研究、または半生やお人柄についても知ることができる、10タイトルをご推薦頂きました。

芳村 弘道 先生

文学部 東アジア研究学域 中国文学・思想専攻 教授

芳村 弘道 先生の研究概要

白川静文庫

『漢字 : 生い立ちとその背景』
白川 静 著 (岩波書店 , 1970)

白川先生が「卜辞の本質」などの初期3部作の論文や『甲骨金文学論叢』10集などを学界に問われた後、『説文新義』を刊行されつつあった時期に一般読者を対象にし、漢字の初形・初義を解説された新書版である。専門研究の成果は社会に還元する必要があるという信念を初めて実行され、これ以降、続々と一般向けの著作を出版された。本書には白川文字学の精粋が凝縮されている。古代人の民俗・宗教観から漢字の字形が表す意味を解き明かされた本書の字説に批判を行った学者があり、これに対して反駁を加えられた「文字学の方法」(『文字逍遙』・『著作集』巻3)も併読してほしい。

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『詩経 : 中国の古代歌謡』
白川 静 著 (中央公論社 , 1970)

白川先生は「漢字の先生」という印象を多くの人がもっているが、先生の学問は漢字に止まらない。先生は若くして東洋とは何かという問題に興味をもち、日本の『万葉集』と中国の『詩経』とを読み合わせられた。『詩経』は中国古代の歌謡集である。そこには古代的観念に基づく発想、表現が伝えられていると見なされ、『万葉集』の和歌との比較からも、その実態を説かれたのが本書である。中国古代文学、『万葉集』、古代の歌謡・民俗に関心をもつ人ならば一読すべきである。

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『常用字解』
白川 静 著 (平凡社 , 2003)

常用漢字に定められた漢字をとりあげ、その字形が表す原初の意味について白川文字学から解説した字典である。高校生にも分かるよう漢字の成り立ちが平易に解説されているので、白川文字学の入門書として親しみやすい。本書では物足りなくなったら、是非とも『字統』に進まれんことを願う。

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『甲骨金文學論叢』初集 , 2集 , 3集 , 4集 , 5集 , 6集 , 7集 , 8集 , 9集 , 10集
白川 靜 著 ([私家版] , 1955-1962)

白川先生は、青銅器に鋳込まれた文字(金文)の研究を行う一方で、膨大な量の甲骨文字を敷き写され、その作業の過程から古代文字の字形が表す意味を解明し、体系化された。『甲骨金文学論叢』10集所収の20篇の中で、初集の「釈史」は、古代の呪術的な社会を背景にして漢字が作られたと見なす白川文字学の根幹というべき「」字の解明がなされている。「」が口(くち)ではなく、祝詞(神に告げることば)を入れる器を表すことを多くの例から論証し、「史」の意味の歴史的な展開も詳論する。「釈史」は高度な内容ではあるが、白川文字学を正しく理解するために必読の論考であるので、読破に挑んでもらいたい。

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『孔子伝』
白川 静 著 (中央公論社 , 1972)

孔子はこの書によって書き改められ、実像を取り戻した。画期的な「孔子伝」である。古来の伝記資料批判に続く、「孔子は孤児であった。父母の名も知られず、母は恐らく巫女であろう」という「白川孔子伝」の説き起こしに、先ず衝撃を受けるに違いない。精神的系譜では道家の荘子が孔子の継承者であるという説にも瞠目させられる。随処に現代への問いかけがなされるところ、また気魄に富む文章も本書の魅力である。学園紛争のまっただ中で書かれたことを思って読むことも意味深いであろう。

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『桂東雑記』I , II , III , IV , V , 拾遺
白川 静 著 (平凡社 , 2003-2010)

『桂東雑記』Ⅰ~Ⅴは、『回思九十年』の後を承け、2003年より07年まで毎年刊行された。論文・随筆・講演録・インタビュー・対談などのほか、読者からの漢字に関する質問に答える「文字答問」(Ⅳを除く)から成る。どの一冊からも漢字の復権と東洋の回復を訴えてやまなかった晩年の白川先生の熱意が伝わってくる。2010年には『桂東雑記 拾遺』が生誕100年記念で出版された。講演における漢字解説は、一般聴衆に向けて行われたので、白川文字学が分かりやすい。白川先生の著作は本書から読み始めるのがよいと思う。

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『白川静の世界 : 入門講座』1: 文字 , 2: 文学 , 3: 思想・歴史
立命館大学白川静記念東洋文字文化研究所編 (平凡社 , 2010)

白川先生は博大な学問によって多くの論考や著書をのこされた。本書は文字、文学、思想・歴史の3巻に分け、各分野の専門研究者が主要な内容について、従来の学説を紹介しつつ白川説の特色を解説した入門書である。白川先生の学問世界の要所が平易に説明されているので、本書を読んでおけば、先生の著書の内容が理解しやすい。次ぎに挙げた『白川静を読むときの辞典』は本書の姉妹編となっている。

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『白川静を読むときの辞典』
立命館大学白川静記念東洋文字文化研究所編 (平凡社 , 2013)

中国・日本の古代を中心とする文学・歴史・哲学・民俗・神話など多方面にわたる研究にもとづいて書き著された白川先生の著作には、広範な領域の学術用語や先生独特の用語が頻出するので、読みづらいと聞くことがある。こうした用語を辞典形式で解説したのが本書である。白川先生の著作に親しむための解説本であり、また古代学を理解するのにも大いに参考になる一冊である。

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『回思九十年』
白川 静 著 (平凡社 , 2000)

本書は、白川先生が翌年には九十歳を迎える1999年12月の「日本経済新聞」に連載され、大きな反響を呼んだ「私の履歴書」のほか、11篇のインタビュー・対談を収める。「私の履歴書」は、日本・中国、東洋が激しく遷り変わって行った二十世紀の間、在野の学者として人生を歩まれた白川先生の回顧録である。これを通して先生の生涯をよく理解することができる。また漢字文化の活性化を通しての東洋の回復も熱く訴えかけられている点にも注意して読んでほしい。

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『白川静の世界 : 漢字のものがたり』
(平凡社 , 2001)

白川先生の漢字学説は、古代の民俗・宗教観と関連づけて体系化された点に大きな特色がある。本書は、日本や中国の民俗・神事に関する写真・図版を豊富に示し、「神」に対する古代的な思惟の諸相を紹介し、漢字の字形に籠められた意味を白川文字学によって解説している。豊富な図版を通して印象深く白川文字学が理解でき、また梅原猛・岡野玲子両氏との対談三篇も民俗・神話・文学を包括した白川古代学を読み解く手引きになっている。

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