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加藤 稔 先生(生命科学部)

2019.05.13


『生命とは何か:物理的にみた生細胞』
シュレーディンガー 著; 岡 小天、 鎮目 恭夫 訳(岩波書店)

量子力学の確立に大きく貢献したシュレーディンガーが到達した生命論。DNAの2重らせんの発見以前の1944年に執筆されたものだが、その核心部分は、生命論を考える上で出発点となる名著です。
すべての生物は原子・分子の集合体であるので、物理法則に支配されています。故に、原子・分子の科学(特に量子力学や熱力学)的視点からの生命を捉えることはまさに王道といえます。量子力学と熱力学の入門的な予備知識を持って読むと、生命の本質についての物理・物理化学的側面を見事にとられていることが理解できます。物理、物理化学の基礎を学んだ理工系学部2・3回生が読むのに適した書籍です。

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『いのちとは何か:幸福・ゲノム・病』
本庶 佑 著(岩波書店)

生命・医科学の第一人者(2018年ノーベル医学生理学賞受賞者)が語る「生命への問い」。生命論に関する書籍では、誇張すぎる仮説や生命論とは直接関係のない話で終始するものもあるが、本書は実証された生命科学の知見に基づく、決して誇張のない科学的生命像を読者に語りかけてくれます。また、科学的課題だけでなく、人間はいかに生きるべきかといった問いに対しても言及しています。「生命科学からわれわれが学ぶことは、われわれが幸福を感じるような生き方自身が生命の在り方に適応しているということである。」という著者の言葉は印象的です。生命科学を学ぶすべての方にお薦めします。

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『死なないやつら:極限から考える「生命とは何か」』
長沼 毅 著(講談社)

タイトルがユニークですが、本書の本当のタイトルはサブタイトルの「極限から考える「生命とは何か」」です。先に紹介した2冊の「生命論」とは全く視点が異なる本です。生命誕生の舞台は原始地球や宇宙環境ではないかという仮説に立つと、極限環境は生命論において不可欠な要素です。
本書は大変わかりやすい言葉でテンポよく、"死なないやつら"(極限環境生物)の紹介から生命論へと誘っていきます。前半では、様々な極限環境生物が登場します。ここで、読者がいままで抱いていた生命像が打ち砕かれます。そして、後半は、進化・遺伝子、さらに宇宙環境からの「生命論」が熱く語られます。「生命論」に興味がない人でもついつい引き込まれてしまうのではないかと思います。

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『極限環境の生体分子:過酷な環境下での機能を科学する』
日本化学会編(化学同人)

化学系あるいは生物工学系で、極限環境に興味をもった学部高回生・大学院生にお勧めします。日本化学会の編集による「各分野の専門家による解説書」です。30名近い執筆者による様々な分野・視点から極限環境下の生体分子に関する研究最前線が紹介されています。研究最前線に加えて、基礎概念の解説および全体の展望や革新論文の紹介、用語解説など、総論・各論・便利情報ありで、長く利用できる書籍です。

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『サイエンス大図鑑 【コンパクト版】』
アダム ・ ハート=デイヴィス 原著; 主編 日暮 雅通、 藤原 多伽夫、 山田 和子 翻訳 (河出書房新社)

今も昔も図鑑はよく出版されます。時々写真や図の美しさに惹かれて、購入してしまいますが、内容が薄かったり、説明が正確でなかったりで、がっかりすることも多いです。本書はそれのような類いのものではありません。どの解説も正確ですが、決してな難解にならないように書かれています。各記事はその分野の専門家が執筆したそうです。自分の専門外の分野を短時間に概観するのにも便利ですが、読めば読むほど人類の英知の歴史に感嘆します。楽しみながら科学全体を鳥瞰することができると思います。

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『現代化学史:原子・分子の科学の発展』
廣田 襄 著(京都大学学術出版会)

出版されている化学史の書籍の中で最も網羅的に解説された素晴らしい本です。化学は物質の科学である故に取り扱う学問分野は非常に多岐にわたります。にもかかわらず、各分野の歴史が丁寧に整理されています。本書を完読することは容易ではないですが、自分の関連する分野だけも大変参考になります。また、大学の講義で学んだ単元を、索引を使って調べるといった使い方もよいと思います。その単元とその関連分野とのつながりを包括的に理解することもできます。もちろん全体をじっくり読み、化学の偉大さに気づかされるのが、著者が最も期待しているところだと思います。

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『物理化学:分子論的アプローチ』
D. A. McQuarrie, J. D. Simon 著;千原 秀昭、 江口 太郎、 齋藤 一弥 訳(東京化学同人)

物理化学は化学・生物科学を専門とする人にとってはとても重要な科目ですが、苦手とする人は多いです。「アトキンス物理化学」や「R. Chang: 化学・生命科学系のための物理化学」レベルを目指したいが、困難さを感じている人に本書をお薦めします。高校数学以上の数学も別途解説もあり、自学できます。上下巻とも秀逸です。上巻は量子化学の入門としても最適です。著者は数年前に他界されましたが多くの優れた教科書を執筆し米国で高く評価されています。今後改訂版が出ないのは残念ですが、この書籍の充実度は驚異的です。化学物理、ソフトマター系の物理系学生の皆さんにもお勧めします。

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『古都』
川端 康成 著(新潮社)

昨年国内で開催されたある国際会議の休憩時に、ブラジルの研究者と日本の小説が話題になりました。このようなとき、やはり村上春樹はよく登場しますが、その研究者は川端康成のファンでした。川端康成の小説の根底には"日本文化を背景とした日本人の美意識や生死観"があり、それが外国人の心を揺すぶることに感動しました。国際会議の会場は静岡でしたので、「伊豆の踊子」を紹介したら、とても喜んでくれました。京都を本部とする本学学生の皆さんには、「古都」をお薦めします。読書後作品に登場する場所を訪れてみるのもよいかもしれません。卒業するまでに味わってください。卒業後も、きっと京都を訪れたくなると思いますよ。

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『日本その心とかたち』
加藤 周一 著;スタジオジブリ 編 (徳間書店)

私が加藤周一氏の著書に出会ったのは高校2年生の国語の授業でした。10ページ程度の日本の庭に関する随筆でしたが、著者の日本文化に対する鋭い洞察力ととも一片の無駄もない洗練された文章に強い衝撃を受けました。それまで最も退屈で苦手な教科が国語でしたが、それ以来国語(現代文)が好きな教科となりました。加藤周一氏が立命館大学と縁の深い先生であることは今更説明の必要もありませんが、本学在学中に是非とも加藤藤周一氏の著書に触れてみてはいかがでしょうか。膨大な著書(私はほんの一部しか読めていません)から一冊を選ぶことは難しいことですが、本書は、日本文化・美術に興味がある理系の学生さんにも満足してもらえる素晴らしい書籍です。

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