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細谷 亨 先生(経済学部)

 


Doing History―歴史と先人に学び、「いま」を生きよう!

『君たちはどう生きるか』
吉野 源三郎 著(岩波文庫、1982年、初出は1937年)

「大学での勉強や生活がつまらない」と感じる人はぜひ一度この本を手にとって欲しいです。本書は、軍国主義が世の中を覆いつつあった暗い戦争の時代に書かれたものですが、それだけに、若い世代に対するメッセージとして、希望をもって生きること、学ぶことの大切さがよく伝わってきます。数時間もあれば読むことができますが、一日かけてじっくりと味わって欲しい一冊です。大学生活を見つめ直すきっかけがつかめるかもしれません。

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『苦(く)海(がい)浄土―わが水俣病』
石牟 礼道子 著(講談社文庫、1972年)

熊本県天草生まれの作家・石牟礼道子の小説です。人間から身体の自由と言葉を奪い、最後は死へと追いやる、恐るべき「水俣病」。今から約60年前の高度経済成長の時代に発生したこの奇病の原因は、企業のたれ流す有機水銀にありました。本書を通じて描かれる、愛する家族や豊かな漁場での平穏なくらしを奪われた人たちの哀しみからは、「外部不経済」の一言では済ませられない公害の深刻さをまざまざと考えされられます。

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『日本の歴史』
児玉 幸多, 井上 光貞, 永原 慶二 編(小学館、1976年)

私が大学生の時に出会い、日本経済史研究の道へ進むきっかけになった本です。マルクス主義の影響が強かった戦後日本の歴史研究では、民衆は「階級」や「階層」といった概念で把握されることが多かったのですが、本書はそうした固定的な理解ではなく、固有名詞をもった、つねに変化や矛盾をふくむ動態的な存在として生き生きと描いた点に最大の魅力があります。女工、炭鉱労働者、小作農民のリアルなすがたを通して近代日本の資本主義の特質が鮮やかに浮かび上がってきます。

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『バナナと日本人―フィリピン農園と食卓のあいだ』
鶴見 良行 著(岩波新書、1982年)

近年、世界的な規模で活発になっているフェアトレードは、農産物など第一次産品をめぐる「豊かな消費国」と「貧しい生産国」の不平等な関係を見直す動きとして注目されています。本書は、そうした不平等な関係が生じる要因を、私たちにとって身近な果物であるバナナを題材に、歴史的な視点を交えながら考察した古典的名著です。「バナナに縛りつけられて、バナナ以外の作物をつくる文化さえ奪われてしまった」フィリピン農民のすがたから、「消費者」である私たちは何を読み取るべきでしょうか。

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『豊かさとは何か』
暉峻 淑子 著(岩波新書、1989年)

ソニーがハリウッドの映画会社を買収したり、日経平均株価が3万8000円台を記録するなど、今では想像できないほどの好景気に沸いたバブルの時代、日本が「経済大国」ともてはやされた時代に刊行された本です。著者の暉峻淑子(てるおかいつこ)は生活経済学の専門家で、実際に滞在した西ドイツと日本の比較から両国では「豊かさ」の質が異なっていることに気が付きます。格差や貧困など見通しのきかなくなった現在だからこそ、本書が投げかけるメッセージは重く響いてきます。

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『自分の中に毒を持て―あなたは"常識人間"を捨てられるか』
岡本 太郎 著(青春文庫、1993年)

高校時代に手にとった本です。皆さんもぜひ本書を通じて、芸術家・岡本太郎とスリリングな対話をしてみてください。彼のいう「芸術」とは、人間の「生き方」にほかなりません。以下は、私が気に入っているフレーズの一つです(なかなか実践はできませんが、気構えとしていつも持つようにしています)。「日常のなかで、これはイヤだな、ちょっと変だなと思ったら、そうではない方向に、パッと身をひらいて、一歩でも、半歩でも前に自分を投げ出してみる。出発は今、この瞬間からだ。」

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『大地の子』(1)~(4)
山崎 豊子 著(文春文庫、1994年)

「中国残留孤児」と呼ばれる人たちがいます。戦時中に日本から満州(現在の中国東北地方)に移民した人たちが、敗戦時の混乱のなか、やむなく満州に残していった子どもたちのことです。作家・山崎豊子の代表作の一つになったこの小説は、ドラマ化されたことでも知られています。決して楽しい話ではありませんが、日中間の歴史の一コマに触れることで、戦争や植民地のあった時代についての想像力を身に付けてみてはどうでしょうか。

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『武士の家計簿―「加賀藩御算用者」の幕末維新』
磯田 道史 著(新潮新書、2003年)

堺雅人が主演した同名の映画の原作本です。個人的には映画よりも原作の方が面白かったです。著者の磯田道史は日本近世史を専門とする若手研究者で、東京・神田の古書店で加賀藩藩士・猪山家の家計簿を偶然見つけたことが本書執筆のきっかけだったと語っています。「支配層である武士はなぜ困窮したのか」。明治維新にもつながるこの問いに応える本書は、これまでの武士のイメージを塗り替えるものとして注目されました。

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『地球温暖化の最前線』
小西 雅子 著(岩波ジュニア新書、2009年)

産業革命以降、世界各国は石油など化石燃料の大量消費によって経済成長を実現してきました。しかしその反面、二酸化炭素の排出量が増えたことで、現在、人類の生存を脅かす地球温暖化が急速に進んでいます。本書には、地球温暖化を防ぐ仕組みがどのように作られつつあるのか、またその過程で発生する先進国と発展途上国の利害対立をどのように調整するのかなど国際交渉の実情がわかりやすく記述されています。環境を無視して経済を語ることができない「いま」だからこそ、手にとって欲しい一冊です。

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『真の文明は人を殺さず 田中正造の言葉に学ぶ明日の日本』
小松 裕 著(小学館、2011年)

田中正造は足尾銅山鉱毒事件の解決に奔走した政治家として知られています。しかし、その活動を支えた彼の「公共哲学」についてはほとんど知られていないのではないでしょうか。著者の小松裕は、田中正造研究の泰斗で、日本の近代史を「いのちの序列化」という視点から捉え直した歴史研究者です。多くの「いのち」が失われた東日本大震災直後に刊行された本書からは、現在の政治・経済・社会のあり方を見つめ直すうえで、100年前の田中正造の思想が重要な手がかりになるのではないか、というメッセージが伝わってきます。

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