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松尾 匡 先生(経済学部)

 


『超能力番組を10倍楽しむ本』
山本 弘著(楽工社、2007年)

小学生にも読めるように、読みがなをふり、対談形式をとって、極めて読みやすく書かれているが、実は大人向けの本でもある。内容は、徹底的な調査と分析によって、超能力番組のウソやトリックを暴いていくというもの。「科学番組」と名付けた番組のウソは叩かれたのに、一旦「バラエティ」と名付けたとたん、どんなに悪質な詐欺行為が公然とまかり通っていることか。この本を読むとマスコミのやり口に あぜんとするに違いない。

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『戦前の少年犯罪』
管賀江留郎著(築地書館、2007年)

同じくマスコミの大ウソツキぶりを表しているのが、連日流される「少年犯罪増加・凶悪化」の報道。
戦後少年犯罪のピークは1960年で、以来激減していることは既に指摘されてきたが、本書はさらに、戦前の新聞記事などを丹念に調べ上げて、戦前がいかに少年犯罪多発時代であったかを明らかにしている。
現代の若者などとても足下に及ばない、猟奇犯罪、短絡犯罪、幼女レイプ、家族殺し、傍若無人の数々。
富めるものも貧しきものもやりもやったり!

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『陸奥爆沈』
吉村昭著(新潮文庫、1979年)

上記管賀江留郎さんの「少年犯罪データベース」というサイトで紹介されていた本。テロや戦闘でない、純粋な私的動機の個人犯罪での殺人数世界記録は、昭和18年の戦艦陸奥爆沈(死者1121名)であった。
地道な聞き取り調査と史料発掘から、秘せられた真実を明るみに出していくうちに、軍規神話をくつがえす人間模様が見えてくる(旧海軍では他に軍艦6艦が事故で爆沈し、うち二件は私的人為であると確定している)。
同じ著者の『海軍乙事件』(文春文庫)もお勧め。

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『「ニート」って言うな!』
本田由紀・内藤朝雄・後藤和智著(光文社新書、2006年)

やはりマスコミの無責任さを表すのが、ニートバッシング報道。本書の本田論文は、データ分析から、純粋な引きこもりの割合は以前から不変で、増えたのは不況のために就職活動を諦めた失業者が実態であることを明らかにしている。「青少年凶悪化」報道のデタラメぶりを、データと実例からあぶりだす内藤論文もおもしろい。1948年の新聞が、15歳少女の妹二人毒殺事件を、高校野球不祥事より小さいベタ記事にしていたのが印象的。

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『累犯障害者 獄の中の不条理』
山本譲司著(新潮社、2006年)

元衆議院議員の著者は、秘書給与流用で刑務所に入った。待っていたのは、受刑仲間の障害者の介護に追われる日々だった。「これまで生きてきたなかで、ここが一番暮らしやすかった」「娑婆に帰るのが恐い」と言う人々。出所したとたん、住所も、職も、生きていく術がすべてなくなり、やくざに食い物にされるか、また刑務所に戻るしかない。刑務所が福祉施設代わりになっている不条理。

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『考える技術としての統計学 生活・ビジネス・投資に生かす』
飯田泰之著(日本放送出版協会、2007年)

印象操作の議論にだまされないために必要なのが、データを使いこなす力。そのために必要な統計学です。本書は、文系で数学が苦手な人でも、統計学の基本的な考え方が理解できるようわかりやすく、説明している。たぶん類書の中では一番読みやすい。コンパクトなのもよい。

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『由布院の小さな奇跡』
木谷文弘著(新潮新書、2004年)

ダム湖の底に消える計画だった、大分県の山の中の温泉地、由布院。ダムにはならずとも寂れ果てた寒村で立ち上がった人々は、別府のような大歓楽街とは別のまちづくりを目指した。ゴルフ場建設を止め、組長の襲名披露には町中がシャッターを閉ざし、音楽祭や映画祭、畜産支援のための「牛食い絶叫大会」などの手作りイベントを始めたら、いつの間にか年間380万人の観光客が殺到することに。その中で生まれた新しい問題に、町の人達がまた立ち上がる。

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『最強の経済学者 ミルトン・フリードマン』
エーベンシュタイン(日経BP社、2008年著)

長年の闘いの末にケインズ経済学を葬り、1980年代以降の、民営化、規制緩和の潮流を切り開いたノーベル賞経済学者フリードマン。貧しく勤勉な移民家族の中の生い立ちから、世界を変えるまでの伝記である。印象に残るのは、政府介入を批判し自由を擁護する不退転の信念。そのために徴兵制廃止を求めて闘い続けた。市場万能論だとか、チリの独裁を支持したとか、不況の放任を主張したとかの通念も誤解であることがわかる。

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『日本の「安心」はなぜ消えたのか』
山岸俊男著(集英社インターナショナル、2008年)

日本人は横並びしたがるというのも、日本人よりアメリカ人の方が一匹狼を好むというのも、日本人の方がアメリカ人よりも他人を信頼するというのも、みんなウソ。実験とデータが常識的思い違いは人間関係を司る心の「ツール」にあるのだが、日本人の「ツール」は関係固定的社会に適応したものだった。市場化が進んで関係固定的システムが崩れる現在、この「ツール」の転換が必要だと訴える。 私と同じ考えの本だが、極めて読みやすい。

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『「はだかの王様」の経済学』
松尾 匡著(東洋経済新報社、2008年)

最後に手前味噌をお許し下さい。イジメも、太平洋戦争開戦も、ドル覇権も、デフレ不況も、様々な社会現象、経済システムが、みんな「はだかの王様」と同じ図式で説明できるという本。この図式は、マルクスの場合、「疎外論」と言って、全思想体系を貫く図式になっているし、今日の主流派経済学は、ゲーム理論によって、この図式でもって様々な制度を分析するようになっている。これをできるかぎり日常用語を使って、極力わかりやすく解説した。

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