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大川 隆夫 先生(2)(経済学部)

 


『日記をつける』
荒川洋治著(岩波アクティブ新書、2002年)

「日記を書く」よりも「日記をつける」という表現の方がしっくりくる。言われてみれば「そうだな」と思う人もいるだろう。では「その理由は何か?」と問われて答えが即座に浮かぶ人は少ないのではないだろうか。この問の答えを知りたい人は是非この本をひもといて欲しい。本書は、日記に関する様々な内容をリズミカルな文章で記した貴重なもの。もちろん、日記をつけている人、つけようと思っている人、日記文学に興味のある人も必見。

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『漢詩入門』
一海(いっかい)和義著(岩波ジュニア新書、1998年)

漢文の授業で漢詩を習ったとき、何で「五言絶句」とか「七言律詩」とか、漢字を「五文字」あるいは「七文字」でひとかたまりにするのかが疑問だった。その長年の疑問を氷解させたのが本書である。本書は、漢詩の成り立ちと鑑賞の仕方を、時代ごとに代表的な詩を使用して、わかりやすく解いたもの。ちなみに、漢詩にはリズムがあることを私は本書で初めて知った。戦前の経済学者河上肇は漢詩を創作できたことからすると、我が身の不明を恥じ入るばかりである。

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『おもしろ古典教室』
上野 誠著(ちくまプリマー新書、2006年)

古文の授業が面白かったという人は経済学部生には少なかろう。分かりそうでわからない古文の文体、複雑な変化をする古語文法などが敬遠される理由であろう。本書は、「古典は面白い」をキーワードに、上記の風潮に真っ向から挑戦している。その挑戦の成果を知りたい人は、本書を手に取って見て欲しい。ちなみに、古典の紹介なのに、古文で書かれたところは巻末に回し、本文には一切ナシ!全てが現代語訳だ。

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『先生はえらい』
内田 樹(たつる)著(ちくまプリマー新書、2005年)

「学ぶ」とは一体どういうことなのかをこれ以上深いところまで分かりやすく書いた本はない。「学ぶ」という行為を、単に、学費を払って単位を取得する、あるいは有用な知識を得るための行為と勘違いしている人は、本書を読んで誤解を解いて欲しい。誤解が解ければ、ゼミナールは、ひいては大学という機関は、何のために存在しているかが分かるはずだ。そして、あなたにとっての「えらい」と思える「先生」に出会うことができるはずだ。

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『知的複眼思考法』
苅谷剛彦著(講談社+α文庫、2002年)

本書のコンセプトを一言にまとめると「眉に唾をつけて読書しよう。」ということになろうか。「格差社会」や「環境にやさしい」などという常套句を使って、もっともらしいことを書いた文章に対して「なんとなくそうだな」と思わず、「議論の前提は何なのか?」、「何を根拠にそんなことを主張するのか?」という視点を持つことの重要性を、本書は説いている。こういう視点を身につけるのも、大学卒業までに済ませておかねばならないことであることを付け加えておこう。

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『思考の整理学』
外山滋比古著(ちくま学芸文庫、1986年)

本書は6部に分かれており、各部は3つから6つのエッセイより構成されている。もちろん最初から読み進めるのもよいが、再読の場合は、どの「部」から読み始めてもよい。そこかしこに、ものを考えるためのヒントが目白押しだ。難しいことを難しく書く人は多いけれど、難しいことをやさしく書ける人は少ない。著者はそんな数少ない人のうちの一人である。

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『木に学べ-法隆寺・薬師寺の美』
西岡常一著(小学館文庫、2003年)

NHKの番組に「プロフェッショナル」というのがある。法隆寺の金堂の大修理や薬師寺の西塔の復元を行った宮大工、西岡棟梁がご存命ならば必ず出演されていたであろう。プロフェッショナルという言葉すら棟梁に対しては軽々しい。棟梁の言葉は重い。教えられることは多い。飛鳥時代の工人の力量の凄さ、宮大工としての心構え、思わず襟を正して読んでしまう。

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『数学的センス』
野崎昭弘著(ちくま学芸文庫、2007年)

子供の時にパズルやクイズが好きで解くのが楽しかったという人は多い。そのパズルやクイズの本質的な部分は実は数学であることが多い。しかし、数学を好きだという人は少ない。本書は「数学って面白いんだよ」というメッセージを伝える使命を担った書。しかも「面白いところだけ拾い読みしてください」という著者のアドバイスつき。その指示に従い気楽に読んでみて欲しい。子供の時のパズルやクイズに夢中になった気分が味わえれば、あなたも立派な数学好きだ。

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『裏日本』
古厩(ふるまや)忠夫著(岩波新書、1997年)

明治初頭、都市人口のベスト30には金沢、富山、新潟、福井、松江、鳥取がランクインしている。しかしながら、大正期に金沢と新潟のみとなり、太平洋側と日本海側の差が大きく開き始める。江戸時代の北前船に代表される海運で経済力を有した日本海側の各都市も、開国以降の貿易の進展と工業化の恩恵を享受できなかったからだ。そのことが「裏日本」に何をもたらしたのかを多面的な視点から分析した書物。

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『科挙』
宮崎市定著(中公文庫、1984年)

小学校入学以来、試験とつくものに悩まされている。学生の時は解く側で、現在は作る側で。では、この試験制度はいつ頃どこで生まれたのかというと、今から1400年以上も前、6世紀の隋で誕生したというのだから驚きだ。それが科挙である。万民の中から優秀な人材を登用する目的で作られた。ではその制度とはどんなものなのか? 本書は、最も制度が整った清朝での状況を克明に描写した上で、科挙制度の功罪を明らかにする。

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