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東 佳史 先生(政策科学部)

2018.04.19

新入生の皆さんへ

スマホからの情報だけでなく、学生時代は古典を読みましょう。といってもまずスマホで概略を掴んでから原典を読んでいくことを勧めます。


『バイブル・プラス』
日本聖書協会 (日本聖書協会)

全世界で一番多く翻訳出版された古典である。旧約はユダヤ教聖典、新約は原始キリスト教からイエスの弟子たちが口承した多くの記録をその普遍性を基に取捨選択した歴史文書である。当初はユダヤ教の改革運動であったが、ユダヤ人のみを救済の対象とする旧約から唯一神の前での絶対の平等と救済を説いたキリスト教はやがて世界宗教として広まっていった。

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『聖クルアーン 改訂第2版 』
三田 了一 著(日本ムスリム協会)

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『聖クルアーン : 日・亜・英対訳』
アリ・安倍治夫 訳(谷沢書房)

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キリスト教の形骸化が始まっていた7世紀頃にアラビア半島に出現したイスラーム教の聖典である。預言者ムハンマドの口承をその死後、書記たちがまとめた114章からなる。もともとアラビア語以外への翻訳は正統ではなく日本語訳はあくまで解釈とされる。ユダヤ教とキリスト教をより止揚・発展させ、唯一神の前での絶対の平等と広範な救済を説いた世界宗教の聖典として歴史的に読むのもよい。


『大乗仏典』
尾 雅人 責任編集 (中公バックス 世界の名著2)

キリスト教もイスラーム教も一神教への信仰を基礎として万人の平等と救済を基本とするが、それ以前にユーラシア大陸中央部で発生した、人間だけではない「生きとし生けるもの」の絶対的平等と万人救済を唱える宗教学書である。しかし、唯識・不殺生を基礎とするその教義は難解であり、主に東方と南方に伝播していったが、その解釈・運用を巡って多くの分派が発生した。しかし、互いに排撃しあう事が少なかった稀有の宗教である。

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『資本論』
マルクス 著 / エンゲルス 編 向坂 逸郎 訳 (岩波文庫)

マルクスは19世紀の経済学者、社会学者そして歴史哲学者であり、その思想は今日「貧困」や「格差社会」を生きる私たちにも大きな意味を持っている。本書は最初に「商品」の分析から始まり、その交換価値を生み出す労働者こそ剰余価値を独占する資本家よりも優位にたつべきとする。又、経済を上部構造(社会経済システム)と下部構造(生産様式)にわけ、後者が前者を基本的に規定するという弁証法的唯物論を打ち立てた。

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『人口論』
マルサス 著 / 斉藤 悦則 訳(光文社 2011年)

人口問題とは何かを1798年に科学的に論述した古典である。ヒトの性欲による人口増加と食料増産は正比例しなくてはならない。しかし、食料増産には限界があるので人口抑制か、貧困の共有しか選択肢はないとする。晩婚化や未婚化による人口減少の一方、バイオテクノロジーよる食料増産は可能となりつつある。しかし、気候変動や疫病蔓延など不確定要素は多く人口と食料の問題は現代的意味を持っている。

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『雇用、利子および貨幣の一般理論』
ケインズ 著 / 間宮 陽介 訳 (岩波書店)

1930年後の世界恐慌のあと発表されたケインズの一般理論は仕事を増やすための需要は政府の金融政策や財政政策によって可能だとする。古典派経済学者のアダム・スミスが主張する『見えざる手によって』予定的に調和されるのではなく、景気変動による失業は政策によってある程度制御可能とした。バブル後の失われた20年に苦しむ日本経済にとって、マルクスとマルサスも福音とはなりえなかったがケインジアンの財政出動と金融政策は現時点では主流となっている。

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『精神分析入門』(上・下)
フロイト 著 / 高橋 義孝、 下坂 幸三 訳 (新潮文庫)

フロイト以前は人間の無意識は漠然と認識されているに過ぎなかったが、彼は無意識を源泉とするリビドーという概念をもって、近代心理学の基礎を確立したのである。彼の始めた精神分析学は精神病の治療に対して有効性を確立し、自由連想、夢判断などによって心の扉を次々と開いていった。現在では薬物を併用した治療が主流であるが彼の発見は文学・心理学・社会学に多くの影響を与えている。

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『自我と無意識』
C. G. ユング 著 / 松代 洋一、 渡辺 学 訳 (レグルス文庫)

フロイトの無意識を人類や民族への集合的無意識に発展させたのがユングである。集合的無意識は個人的無意識を超える事もあるとし、ナチスによるホロコーストを集合的無意識と関連付けてもいる。彼が発展させた「コンプレックス」「原型」や「タイプ」はその後の心理療法(カウンセリング)の基礎ともなり箱庭療法は現在でも利用され、宗教学、心理学、文化人類学への影響は大きい。

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『カラマーゾフの兄弟』
ドストエフスキー 著 / 亀山 郁夫 訳 (光文社)

19世紀世界文学の最高峰である。主題は「神はありやなしや」であり、中核となるのは後半にある「大審問官」である。父であるヒョードル・カラマーゾフ殺しというという推理小説の体裁をとりつつ、「神が存在しなければ全ては許されてある」というその次男イワンと三男である天使のようなアリョーシャ、その師としてロシア正教の謎のゾシマ長老を配し、19世紀的命題を延々と読者に突きつける。又、名言の宝庫でもある「俺があいつを嫌いになったのは、あいつは俺に何もしなかったのに、俺はあいつにひどい事をしたからだ」。予定されていた続編はテロなどの21世紀的テーマも予定されていたが未完に終わっている。

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『魔の山』
トーマス ・ マン 著 / 関 泰祐、 望月 市恵 訳 (岩波書店)

20世紀世界文学の代表的小説である。主人公のハンス・カストルプは第一次大戦前のサナトリウムに入院する事になり、結核=死に直面しつつも、そこで出会う人々や経験(こっくりさんを含む)を経て人間的に成長していく古典的教養小説のスタイルをとっている。最終的に、ハンスは「菩提樹」を口ずさみながら来るべき民主主義の勝利を予感しつつ第一次大戦の始まったヨーロッパ戦線に参加する。民主主義の萌芽期の姿を視野にいれつつも、ドストエフスキーは「偉大なるロシアのロシア」から脱却できなかったが、トーマス・マンはドイツという枠をこえ「民主主義」という20世紀のより普遍的な価値に踏み込んだのである。

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