図書館の新型コロナウイルス感染症への対応について(更新:2020年5月29日)

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石川 亮太 先生(経営学部)

 


『八重山の台湾人』
松田 良孝著(南山舎、2004年)

石垣島や西表島に観光に行った人はきっと水牛車に乗ってみたと思います。パイナップルも食べたかもしれません。いずれも南国らしいイメージのものですが、実は八重山に昔からあったものではありません。これらは、八重山の目と鼻の先にある台湾から、そこが日本の植民地だった頃に持ち込まれたものです。八重山に移り住んだ台湾出身者が、戦後の国境線の移動のなかでどのような経験をしたかをたどります。「国籍」とは何かを改めて考えさせられます。

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『台湾の台湾語人・中国語人・日本語人』
若林 正丈著(朝日新聞社、1997年)

台湾に行ったことがある方、パスポートには何という国のハンコが捺されたでしょうか。台湾の歴史は意外なほど日本では知られていません。50年に及ぶ日本の植民地支配から解放された台湾は、その後も苦い経験を重ねながら自力で民主化を実現しました。その過程では、台湾に住むようになった背景も、使う言葉も違う人びとが、それぞれの立場から政治に参加しました。そこにいあわせた日本人研究者が、日記スタイルで台湾の政治や社会を語った本です。

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『命こそ宝:沖縄反戦の心』
阿波根 昌鴻&著(岩波書店、1992年)

日本の米軍基地の7割以上は沖縄県に集中しており、現在も新しい基地の建設が議論となっています。これは国際関係の問題であるのと同時に、現地の人々の生活の問題でもあります。著者が住んだ伊江島は沖縄戦の激戦地の一つで、戦後も多くの土地が米軍用地として接収されました。長く非暴力の反基地運動を続けた著者が、独力で平和資料館を設立するに至った過程と、そこでの様々な人との出会いについて平易な言葉で語っています。

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『からゆきさん』
森崎 和江著(朝日新聞社、1980年)

「からゆきさん」とは明治から昭和のはじめにかけ、アジア各地の売春宿で働いた日本人女性をいいます。その多くは九州の農村から生活のために身売りされた人々で、日本の海外貿易や投資の拡大と並行するように、朝鮮半島や中国、東南アジアへと送り出されてゆきました。生存者からの聞き取りや文献調査を通じ、日本の海外「進出」の影に常にいながら、十分な手を差し伸べられず忘れられていった人々の歴史を掘り起こした本です。

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『越境する民』
杉原 達著(新幹社、1998年)

朝鮮半島の南側に浮かぶ済州島は、日本の植民地時代、多くの人が職を求めて大阪に渡航した島です。移動のピークとなった1930年代を中心に、島の村と大阪の工場地帯の間を往き来した人びとの生活や、日本人との向かい合いについて、インタビューや小説、落語や歌謡も題材として、多面的に考えた本です。「地域のなかの世界史/地域からの世界史」という本書の発想は、現在のグローバル化を考える際にも、有効な手がかりとなるように思います。

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『なぜ書き続けてきたか/なぜ沈黙してきたか』
金 石範・金 時鐘(著)、文 京洙(編) (平凡社、2001年)

日本敗戦後の1948年、済州島では、南北分割に反対する武装蜂起が発生しました。その鎮圧の過程では一般人も含む3万人以上が殺害され、残った人も長く政治的な監視と迫害の下を生きることになりました。この事件は、済州島出身者の多かった在日韓国・朝鮮人にも様々な影響を与えてきました。在日を代表する文学者の二人が、自分の個人史を振り返る形で事件を語ります。なお対談司会者の文京洙氏は本学国際関係学部の教員です。

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『九月、東京の路上で』
加藤 直樹著(ころから、2014年)

92年前の関東大震災では10万人以上の方が亡くなりました。その犠牲者の中には、直接に地震で亡くなったのではない数千人の朝鮮人が含まれています。当時の東京には、植民地の朝鮮から多くの労働者や学生が来ていました。地震の直後、これらの朝鮮人が暴動を企てたというデマが流れ、一般の市民や警察、軍隊までもが関東一円で朝鮮人を殺害しました。著者はその現場を丹念に訪れ、その記憶はどのように伝えられてきたのかを探っています。

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『[増補]アリラン峠の旅人たち』
安 宇植編訳(平凡社、1994年)

韓国の伝統的な職人、商人たち13人の聞き書きです。行商人や鍛冶屋、大工のほか、遺体に死に装束を施す「斂匠」や墓地の場所決めをする「風水師」など、多彩な職業の人々が現れます。日本でもそうだったように、一口に民衆といっても、その暮らし方は驚くほど多様であったことが分かります。もとの聞き書きが行われたのは1970年代ですが、経済成長の中で伝統的な暮らしが消え去ってゆく様子も日本と似ています。

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『砂糖の世界史』
川北 稔著(岩波書店、1996年)

甘い紅茶といえばイギリスを代表する飲み物ですが、サトウキビもお茶もイギリスでは育ちません。いずれも近世のイギリスが貿易を拡大し、植民地を獲得するなかで使うようになった物産です。アフリカ人奴隷によるサトウキビ生産は、現地社会に大きな爪痕を残した一方、イギリスの社会にも大きな影響を与えました。歴史を一つの国や国民を単位として考えることはできないというメッセージを、なじみ深いモノの由来を通じて伝えようとした本です。

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『忘れられた日本人』
宮本 常一著(岩波書店、1984年)

著者は日本全国を旅しながら各地での人々の生活を聞きとった民俗学者です。村を守った人、村を切り開いた人、また村の枠を飛び出して漂泊した人など、多様な暮らしが当事者の言葉を通じて紹介されています。これらの人々の多くは文字を持ちませんでしたが、経験と伝承の中から、人生への洞察とユーモアを積み重ねてきたことが分かります。人間を対象とする学問の出発点は、多様な暮らしへの「驚き」と想像力だということを教えてくれる本です。

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