学部長あいさつ

 「政策(Policy)」の名前をもった学部や学科は、現在、全国で80を超えるといわれます。その中で、立命館大学の政策科学部は、慶應義塾大学総合政策学部(1990年)、中央大学総合政策学部(1993年)に続く、3番目の学部として、1994年に開設されました。

 立命館大学で政策科学部を設置しようという機運が高まったのは、1990年代に入ってすぐのことでした。よく知られているように、1990年代は、バブル経済が崩壊したあとの時代であり、政治、行政、経済など 様々な分野で解決すべき問題は山積し、近代日本が掲げた欧米諸国への「キャッチアップ(追いつき追い越せ)」や経済成長といった目標が揺らぎ、新しい指針の発見が迫られはじめた時代でした。

 日本社会にとっての新しい指針の発見——これは、21世紀に生きる私たちに課せられ続けている問題でもあります。大事なことは、この難問が複雑で総合的な性格をもっているという点です。こんにちの政策課題は、どれをとっても、相互に複雑に絡みあっています。グローバル化の時代といわれるように、国内問題と国際問題とを別々に扱うことが難しくなっています。たとえば、環境汚染の問題は国境を超えて拡がり、日本から遠くはなれた地域の紛争や戦争が、私たちの生活を直撃します。

 他にもたくさんの例をあげることができるでしょう。私たちの世界、私たちの時代に起こっているさまざまな問題が、どれもこれも互いに関連しあっていることを忘れてはなりません。戦争、環境汚染、飢餓、高齢化、雇用、犯罪——放置できないたくさんの問題があります。これらの問題の背後には、苦しんだり、悲しんだり、悩んだりしているたくさんの人びとがいるからです。その苦しみ、悲しみ、悩みを少しでも和らげるためにはどうしたらよいのでしょうか。

 そうした問題を理解し、その問題を解決する道を探るためには、複眼的で総合的な視野が必要です。広い視野をもって現代世界、現代社会の問題に接近し、それを解決できる人材が必要です。問題を発見し、その解決までを見通すこのできる、そのような人材を育成するために生まれたのが、政策科学部です。

 1994年の政策科学部創設に続いて、1997年には大学院政策科学研究科(修士課程)、1999年には大学院の博士後期課程が開設されました。前述の理念の下で、多くの人材が政策科学部・政策科学研究科から巣立っていきました。

 本年4月から政策科学部・政策科学研究科は、立命館大学の新しいキャンパス――大阪いばらきキャンパスを拠点に、いっそうの飛躍と発展を期して、その歴史の新たなページを開くことになりました。研究・教育にわたるこれまでの実績を踏まえ、政策課題の解決に資する知識の生産と人材の育成に、これまで以上に取り組む所存です。

重森 臣広 教授