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国際シンポジウム「人口減少社会におけるアジアの都市の政策的戦略」を開催しました

2017年10月12日(木)、大阪いばらきキャンパス(OIC)において、立命館大学政策科学部・東北財経大学公共管理学院共催の国際シンポジウム「人口減少社会におけるアジアの都市の政策的戦略」を開催しました。今回で4回目となる共催国際シンポジウムですが、日本社会の大きな課題である人口減少社会や、その下での都市問題・政府の役割の変遷などといったテーマについて、これまで以上に活発な議論が繰り広げられました。

シンポジウムの冒頭には、政策科学部重森臣広学部長の開会挨拶の後、公共管理学院張向達院長による研究発表、“The Structure of Social Governance: On the Adjustment Mechanism Construction”が行われました。発表では、社会状況の変化に伴った中国政府によるガバナンスの変化に焦点が当てられ、安定的な経済成長を達成するために求められる政府の役割が論じられました。社会状況に対応した政府のガバナンスや経済政策が求められている日本に対しても、非常に示唆に富んだ報告となりました。

続いて、政策科学部の平岡和久教授から「日本における都市財政の現状と課題」と題した報告が行われました。2000年代前半に行われた三位一体改革以降の大都市財政を総括し、人口減少社会における持続的な都市財政構築のための課題が示されました。
三番目には公共管理学院・劉暁梅教授から、日中双方の課題である高齢者福祉・社会保障とその財源に関する報告が行われました。“Reflections on the Sharing of Financial Source Responsibility for Chinese Elderly Care Services”と題された本発表では、中国の高齢者福祉制度を題材に、日本の下で先進的に取り組まれている社会保険による高齢者福祉の検討がなされました。

財政に関する報告の次は、両国の政治に関する研究発表がなされました。地域情報研究所所長(政策科学部教授)の上久保誠人教授からは「コア・エグゼクティブ構造の違いに見る日中の政策過程比較」というテーマで、日中の国際金融政策を例とした政策過程比較の結果が示されました。根本的な社会制度が異なる両国ですが、政策過程には類似点も多く存在し、比較結果からはそれぞれの制度的課題なども示唆されました。
中国の政治体制については、続いての報告者である公共管理学院・謝志平准教授から詳しく解説がなされました。謝准教授の“Hierarchical Governance of Political Ecology in China”と題された報告では、中国の汚職に着目し、これを生み出してしまっている政治的背景と、その改善策が示されました。

会場では、政策科学研究科の中国人大学院生を中心に、多くの院生が先生方の報告に真剣に耳を傾けていました。参加者への配慮として、政策科学部の先生方(楊秋麗専任講師・上子秋生教授・式王美子准教授・飯田未希准教授)による日本語・中国語・英語の同時通訳が行われ、院生たちは様々な角度から「アジア都市の政策的戦略」について学びを深めることができました。

5名の教授からの示唆に富んだ研究発表の後には、政策科学部・岸道雄教授をコーディネーター、報告者をパネリストとしたパネルディスカッションが実施されました。報告者による活発な議論が交わされた後、張院長から知の共有の重要性についてお話を頂きました。今回のシンポジウムにおいては、普段から議論を交わすことができない2か国の研究者が、1つのテーマについて活発な議論を交わし、双方の比較から日中両国に有益な示唆を得ることができました。多くの見識を与えてくださいました東北財経大学公共管理学院の皆様に、この場を借りて厚く御礼申し上げます。

政策科学部と公共管理学院共催の国際シンポジウムは、2014年度東北財経大学で第1回を開催して以降、毎年開催しており、次第に議論の内容も深まってまいりました。閉会挨拶では、政策科学部大塚陽子副学部長がこれまでの議論を基にした出版の可能性にも触れられました。更なる活動展開を見据えつつ、重要な研究・教育の機会として次年度以降も国際シンポジウムを開催する予定です。

ディスカッション

張先生

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