デジタル技術が発展し、あらゆる文化財をデジタル情報として保存しようという「デジタルアーカイブ」の試みが、世界中で盛んになっています。アーカイブされるのは、形のある「モノ」だけでなく、演劇、生活様式、習慣、祭礼など形のない「コト」まで様々です。この研究では、レーザー光線で物までの距離を測る「レーザー計測」などで正確に測り、確率的「ポイントレンダリング法」という独自の方法を使って、三次元の形を透視できる技術を、世界で初めて開発しました。
この技術によって、1100年以上も受け継がれてきた八坂神社のお祭り「祇園祭」の山鉾をデジタルアーカイブすることに成功しました。山鉾の内部や装飾品、周囲の提灯や櫓などまで精密に透視・再現しました。さらに、口伝えで受け継がれてきた、数百の部材や飾りのある山鉾の組み立てから分解までのプロセスをアーカイブする取り組みをしています。
この技術によって、近い将来、世界中の文化財や文化遺産の新しい姿を見ることができるかもしれません。