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本学総合科学技術研究機構客員協力研究員・塚本敏人先生が、コペンハーゲン大学教授・Niels Secher先生や本学スポーツ健康科学部教授・橋本健志先生らと共同で取り組まれた国際共同研究成果が「Medicine & Science in Sports & Exercise」に原著論文として掲載されました。

 本学総合科学技術研究機構スポーツ健康科学研究センター客員協力研究員・塚本敏人先生(早稲田大学スポーツ科学学術院講師)が、コペンハーゲン大学(デンマーク)教授・ニールスセッカー先生や本学スポーツ健康科学部教授・橋本健志先生らと共に取り組まれた国際共同研究成果が「Medicine & Science in Sports & Exercise」に原著論文として掲載されました。

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38115226/

 運動をすると、様々な臓器から生理活性物質が生成されます(エクサカイン)。各臓器(骨格筋や心臓、脳など)で生成されたエクサカインは血液に放出され、全身を循環することで別の臓器などに供給され、運動による様々な生理変化をもたらします(臓器間のクロストーク)。エクサカインの反応性は、運動の取り組み方(強度や時間、頻度、様式など)によって異なることがあり、それによって生体にもたらす運動の効果も変わってきます。愛情ホルモンとして知られているオキシトシンは、抗うつなどの生理心理的作用だけに留まらず、血管機能や脂質代謝などの改善作用もあることが知られています。本研究は、全身を循環するオキシトシン濃度が高強度インターバル運動によって増加することを明らかにしました。
 エクサカインは、静的休息を挟んで運動を反復すると、1回目の運動と2回目の運動でその反応性が異なることがしばしば観察されます。そこで、静的休息を1時間ほど挟んで、強度も時間も同じ高強度インターバル運動を反復し、その運動前後の血中オキシトシン濃度を検証比較しました。その結果、血中オキシトシン濃度は、1回目の高強度インターバル運動と2回目の高強度インターバル運動で同じくらい増加しました。つまり、全身を循環するオキシトシン濃度は、数時間内に実施する運動の回数に影響を受けず、その運動の都度増加することが明らかとなりました。
 また、オキシトシンは主に脳で作られることで知られていますが、本研究では、高強度インターバル運動によって増加した血中オキシトシン濃度が、脳のオキシトシン放出と関連しなかったことも報告しました。そのため、高強度インターバル運動によってオキシトシンが増加するメカニズムは明らかでなく、運動時には他の臓器(骨格筋や心臓、精巣など)が主にオキシトシンを分泌している可能性があります。

Circulating plasma oxytocin level is elevated by high-intensity interval exercise in men
Tsukamoto H, Olesen ND, Petersen LG, Suga T, Sørensen H, Nielsen HB, Ogoh S, Secher NH, Hashimoto T.
Medicine & Science in Sports & Exercise. オンライン先行公開中.
doi: 10.1249/MSS.0000000000003360

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