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ゲスト講義実施報告 2026春 「戦略的アートマネジメント論」
- 2026年9月
- 学生生活・活動報告
2026年4月15日、North Lake Village 代表である久川 史哉氏を研究科授業「戦略的アートマネジメント論」にてゲストとしてお迎えしました。

本授業では、長野県信濃町におけるアートを中心とした地域活性化の一事例として、廃校となった旧古間小学校(明治43年築の木造校舎)の活用を検討するため、久川氏を講師に招き、講義を実施しました。講義では、同団体が主催に加わる「信濃町の原風景を共に考える会」を中心とした旧古間小学校をめぐる討論の経緯や、同校を舞台とした「シナノ・フォレスト・シネマ(Cinano Forest Cinéma/CFC)」の実施を通じた地域との連携について解説いただきました。
あわせて、学生の課題発見に資するよう、ファンドレイジングの実態、マーケティングプラン策定の必要性、信濃町教育委員会をはじめとする地域行政との連携状況などについても詳細に報告いただき、本授業の最終課題である「旧古間小学校の活用を考える」に取り組むうえでの考察材料を得ることができました。
また、その前提として、久川氏自身の経歴、具体的には約20年にわたるパリでの生活を経て信濃町への移住に至った経緯や、米国の Black Mountain College への思いなどについても説明いただきました。これにより、移住者である久川氏の眼から見た日本の原風景と、それを土台としたアート活動を見据えたマネジメント論について、非常に有益な知見を得るに至りました。
さらに、久川氏の考え方に触れたことを契機として、学生が自らの研究における課題を見直し、信濃町におけるアートと地域連携をめぐる具体的課題との共通点を発見する機会となりました。これにより、個々の研究テーマと地域の実課題とを往還的に捉える視点が養われ、理論と実践を架橋する学びが実現したといえます。

大学院授業・研究プロジェクトとの接続
本講義は、本学教員・松葉涼子による研究「周縁的戦後資料のデジタル・ヒューマニティーズ研究」(2026年8月1日 ARC Days にて報告)の一環として位置づけられるものです。同研究は、写真・葉書・音声など、私的・地域的に所蔵され制度の外に置かれてきた「周縁的」な戦後資料を対象とし、信濃町の事業では、「信濃町の原風景を共に考える会」「信濃町教育委員会」、および地元団体ウンプテンプによる信濃町デジタルアーカイブ&巡回展事業「Colours of Memory」との協働のもと、1930年代(昭和初期)の信濃町域を写した写真の発掘・デジタル化を進めています。デジタル化した写真はエプソンの協力により大判プリント化され、旧古間小学校木造校舎前の広場に「アートウォール」として設置されました。
授業の成果
久川氏による講義の後、受講者はそれぞれ、シナノ・フォレスト・シネマをどのように活用しうるかについて検討を行い、マーケティングプランの立案や他地域の先行事例の援用など、具体的な提案を考案するに至りました。講義で得た知見が、単なる事例理解にとどまらず、学生自身の企画立案へと展開された点で、高い教育的効果が認められました。
また、本年8月14日(金)から16日(日)にかけて旧古間小学校を会場に実施される「CFC2026」(入場無料・全5作品/テーマ「信濃町の"原風景"に、映画という光を灯す」)に、ボランティアとして参加したいと申し出た学生が5名に上り、講義を通じて地域活性化の現場への関心が喚起され、実践的な参画意欲につながったことは、本授業の大きな成果の一つであると考えます。また現地では信濃町役場関係者とも交流をすることができ、本授業の学びがどのように現場で接続し得るかを体験する貴重な機会となりました。