立命館大学 デザイン・アート学部 / 大学院デザイン・アート学研究科

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ゲスト講義実施報告 2026春 「京都・伝統文化論」
  • 2026年9月
  • 学生生活・活動報告

  2026年6月24日、岐阜県立森林文化アカデミー教授/一般社団法人 技の環 代表理事である久津輪 雅氏を学部授業「京都・伝統文化論」にてゲストとしてお迎えし、伝統技術の継承をテーマとしたオンデマンド授業を実施しました。


 授業に先立ち、担当教員の前﨑が岐阜県立森林文化アカデミーを訪問し、久津輪氏による講義を現地で撮影。学生はその授業動画をオンデマンドで視聴しました。 授業の前半では、久津輪氏が勤務する岐阜県立森林文化アカデミー(https://www.forest.ac.jp/)について紹介していただきました。森林文化アカデミーでは、林業だけでなく、森林環境教育、木工、木造建築など、森林や木材に関わる幅広い分野を実践的に学ぶことができます。久津輪氏自身の経験を交えながら、特徴的な教育や学生の活動についてお話しいただきました。 後半では、久津輪氏が代表理事を務める一般社団法人「技の環」(https://ginowa.org/)の活動を中心に、伝統技術の継承が直面している問題について紹介していただきました。伝統技術を支える道具や原材料、それらを生産する人々の減少など、普段は見えにくい問題を具体的な事例から解説。また、久津輪氏自身が職人や関係者への聞き取り調査を行い、異なる立場の人々が課題を共有する場をつくるなど、関係者をつなぎながら解決策を探っている「技の環」の実践についても紹介されました。 授業後には、「伝統技術の継承を支援する優れた事例」を学生自身がリサーチし、①その取り組みが優れている理由、②誰が運営しているのか、③活動資金を誰が負担しているのか、という観点から調査・分析する課題を実施しました。

 学生が提出した課題の内容をみると、伝統技術の継承を単に職人の後継者不足の問題として考えるのではなく、道具や原材料、それらを供給する人々まで含めた「つながり」として捉える久津輪氏の視点に強い関心が示されていました。特に、鍛冶に必要な松炭の生産者や、伝統的な道具を製作する職人まで減少しているという話から、「職人を育てるだけでは十分ではなく、技術を支える環境全体を維持する必要がある」と気づいた学生が複数見られました。 また、久津輪氏が実際に現地へ足を運び、職人や関係者への聞き取りを重ねながら課題を把握し、関係者同士をつないで解決策を探っていることについても、「インターネットで調べるだけでは分からない現場の問題を知ることができた」といった反応がありました。伝統技術を支える「原材料」「道具」「職人」「行政」「産地」を一つの仕組みとして捉える視点に、新たな発見を得た学生もいました。 さらに、授業後のリサーチ課題では、学生自身が全国の後継者育成や産地支援などの事例を調査し、活動内容だけでなく、運営主体や資金の出所、実際に生み出された成果まで検討しました。その結果、「伝統文化を守ることは大切である」という理念にとどまらず、誰が担い、誰が資金を負担し、どのような仕組みをつくれば継続できるのかという、より具体的な視点から伝統技術の継承を考える機会となりました。久津輪氏の現場での実践に基づく講義と学生自身によるリサーチを組み合わせることで、伝統技術の継承を社会的・経済的な仕組みの問題として多角的に考える教育的効果が得られました。