立命館大学 デザイン・アート学部 / 大学院デザイン・アート学研究科

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ゲスト講義実施報告 2026春 「フィジカルアート表現演習」
  • 2026年9月
  • 学生生活・活動報告

 研究科科目「フィジカルアート表現演習」では現代アートの手法を学び、参加型作品の制作・発表を実践しました。制作課題のテーマには、歴史的・社会的・個人的行為としての〈ねむり〉を設定し、各受講生が講義をつうじて同主題における課題点を見出したうえで、自分なりに〈ねむり〉を解釈し、作品制作を行いました。ゲストは8月18日にカルドネル島井佐枝氏(MUZ ART PRODUCE 代表、一般財団法人森記念製造技術研究財団地域・文化支援事業 委託研究員、帝京短期大学文化芸術研究センター客員教授)と、8月19日に鍛治恵氏(NPO法人睡眠文化研究会事務局長・立教大学兼任講師、睡眠改善インストラクター)をお招きしました。

 初日の講義では、カルドネル島井氏から現代アートとはなにかというテーマのもと、芸術にまつわる制度的枠組みとそこから見えてくる課題、そして作品と向き合う際に個人のうちで働く二つの美的感性について、わかりやすくご教授いただきました。芸術作品には感覚美と精神美の二層が働き、なかでも、精神美こそが芸術の美を担う重要な感性であるとするアンリ・ベルクソンの言葉を、写真家の畠山直哉氏の作品《津波の木》を参照しながら解説していただきました。現代アートおよびアート作品のあり方への理解を深めたのち、〈ねむり〉をテーマとした作品(ソフィ・カル、マリーナ・アブラモヴィッチ、ジュスティーヌ・エマールなど)をご紹介いただきました。さらに、夜、白昼夢、眠りにまつわる芸術祭や美術関連施設なども幅広く取り上げていただき、同テーマにおいて鑑賞・参加行為や芸術表現にどのような意味づけ・価値づけがなされているかを、多様な事例をもとにレクチャーして頂きました。


 二日目の講義では、鍛治氏に睡眠科学と睡眠文化という二つの視点から〈ねむり〉についてお話しいただきました。〈ねむり〉をめぐるこれまでの研究アプローチには、睡眠科学に分類される生理的な睡眠(医療分野)や環境的な睡眠睡眠(人間工学・建築分野)のほか、睡眠文化として捉えられる文化的な睡眠(習慣、行動、眠りの道具など)があり、本講義では眠りのメカニズムだけでなく、文化の視点から〈ねむり〉について学びました。「人は、誰とどこで、どうやって眠ってきたのか」、そして「眠る環境や眠り方の変遷や差異」について考え、世界における枕の分布など文化人類学的な比較研究にも触れました。最後に、各受講生が自身の「わたしの眠り小物」や「わたしの入眠儀式」についてまとめ、鍛治氏からコメントを頂きました。


 総じて、2回の講義を通じて、各受講生は国際的な事例から現代アートとは何かについて学ぶとともに、表現そのものだけでなく表現の場についても探求する機会を得ました。また、〈ねむり〉と人間の関係が文化的なものであることを改めて学び、さらには自分や他者の〈ねむり〉について分析することでテーマの解釈の幅を広げ、自らの表現と向き合う契機を得ました。