2008年1月12日 (第2840回)

デジタルがひらく文字研究の世界 -「祇園」はどう書くか、景観文字研究の視点から-

立命館大学日本文化デジタル・ ヒューマニティーズ拠点 客員研究員 當山 日出夫

 今の日本語の表記(文字)は、大きな変化をむかえようとしています。コンピュータの普及によって、難しい漢字でも簡単に変換して出せるようになりました。しかし、その文字は、コンピュータの規格によって決まった文字(字体)に限定されます。

 では、私たちは、日常どのような文字を見て生活しているでしょうか。街頭の看板や、駅名・バス停など、コンピュータに依存しない文字で、私たちは日常生活をおくっているはずです。

 この発表では、このような文字(景観文字)について、文字研究の立場から話しをします。

 景観文字研究では、コンピュータをつかいます。デジタルカメラによる用例収集や、GPS情報によるデジタル地図での位置確認などです。事例としては、京都の「祇園」です。「祇」の「しめすへん」は、どう書いているでしょうか(ネ・示)。

 また、「祗園」と書くのは、誤字なのでしょうか。今の京都の「祇園」だけではなく、広島や博多の「祇園」の地名表記や、京都の浮世絵・名所図絵などの歴史的資料の「祇園」(インターネットのデータベースで見ることができます)などと比較してみます。

 コンピュータを使うからこそ可能になった、コンピュータを使わない文字(景観文字)の研究について、紹介してみたいと思います。