2008年9月6日 (第2866回)

改革開放30周年を迎える中国の社会と経済  -成果と課題-

桃山学院大学経済学部 教授 厳 善平

 気がつけば中国は世界の工場、そして、世界の工場から市場へと。

 これは日本のマスメデァが中国経済の実態を伝える際によく用いた表現である。国内総生産は世界第4位、貿易総額は世界第3位、外貨準備高は世界1位と、国際経済における中国のプレゼンスが高まるばかりだ。日本の対中貿易は長年1位を占めた米国を上回っている。しかし他方、環境汚染、経済格差、政治腐敗、急速な少子化・高齢化など中国的問題も多く指摘されている。

 本講座では、豊富な統計データに基づいて、改革開放30年を迎えた中国の社会と経済を多面的に捉え、急成長のプロセスとパフォーマンスを解説し、持続的成長を実現するための課題を提示する。具体的には、①社会経済のどこがどのように変化しているのか、②中国社会の底流に潜む変らないものは何だろうか、③変化と不変の間にある中国の実像をどう捉えるか。