2005年9月3日 (第2741回)

知識社会における起業家精神

経営学部教授 肥塚 浩

 現代は知識社会と言われています。経営学の泰斗ピーター・ドラッカー教授は、知識社会では知識が中核の資源となり、知識労働者が中核的な働き手となると主張しています。

 知識を基盤とする経済の主役である知識労働者には、医師、弁護士、教師、会計士、技術開発者などだけでなく、コンピュータ技術者、ソフト設計者、臨床検査技師、製造技能技術者など膨大な現代のテクノロジスト(技能技術者)を含みます。知識社会は知識の獲得と創造と活用のために競争しあう社会ですから、知識労働者がその心理的圧力と精神的ストレスを多く受けながら生きていく社会でもあります。

 他方で、未来を創るには起業家精神がとても大切です。起業家精神は営利組織においても、非営利組織においても重要です。

 後者に関しては、社会起業家という言葉がNPOの世界などにおいて最近よく語られています。知識社会において、知識を獲得し、創り、活用して、新しい市場と顧客を創造するために、起業家が多くの知識労働者と協働することがたいへん重要であることの意味を考えたいと思います。