2010年12月18日 (第2962回)

トランスナショナル化するマレーシアの外国人労働者

文学部 教授 藤巻 正己

 「グローバル化と人の移動―ツーリストそして労働者―」と題する今回の企画では、1990年代以降、経済・金融のグローバル化にともない、アジアでは国際的な人の移動が急激に拡大しました。 アジア通貨危機(1997年)やリーマン・ショック(2009年)による世界経済・金融危機、2001年「9.11」同時多発テロやイラク戦争(2003年)、バリ島などでの自爆テロ(2005年)、 SARS(2003年)・H1N1インフルエンザ(2009年)などの伝染病の蔓延、スマトラ沖大地震・大津波(2004年)などの自然災害が勃発しましたが、全体としてアジア地域における人の移動は、 今なお膨張の一途をたどっています。21世紀に入り、アジア経済全体の成長、しかし国家間の就労機会や所得格差の拡大、新中間層の膨張、格安航空会社の航空業界における、 出入国管理の緩和政策など、人のトランスナショナルな移動を容易にする状況がますます広がりをみせつつあります。

 そこで12月の企画では、ツーリストそして労働者に焦点をあて、アジアにおける人の移動の現状について考えてみたいと思います。 なお2回の講座では各回とも、本企画を担当した藤巻が冒頭、概要を述べ、次いでゲストスピーカーによって講義が行われる、という形式をとります。