2012年4月14日 (第3010回)

成長から適応への転換-日本経済が失った40年

立命館大学国際関係学部 教授 高橋 伸彰

 2011年3月11日に東日本を襲った三陸沖を震源とするマグニチュード9の大地震は、予期せぬ形で日本に対する世界の関心 を引き起こした。それは、行方不明者を含めて2万人近い犠牲者を出した未曾有の自然災害という悲惨な「事実」だけではなく、 我々が享受している文明の基盤がいかに脆く、また危険であるかを福島第一原発の事故を通して再認識する「転機」にも なったからである。改めて指摘するまでもなく、欧米にキャッチアップしてから久しい日本経済の課題は、欧米の背中を眺めて 走りつづけていた高度成長期とは大きく変わっている。それにもかかわらず2度の石油危機を経ても、またバブル崩壊の痛手 を受けても経済成長に対する期待は、日本で生活する人々の精神に根強く染みついており、歴史的な政権交代を果たした 民主党政権も「成長信仰」から離脱できないまま迷走を続けている。大震災後の復興ヴィジョンには、欧米が主導してきた 近代以降の成長中心的な「発展」モデルとは異なる、アジア発の新しい持続的な「発展」モデルが胚胎している。 その貴重な芽を「災後」の日本経済の展望と共に、政策提言として結実させることは日本にとって「脱成長」の画期となる だけではなく、世界的にも「発展」のパラダイムチェンジをもたらす画期になるのではないか。

聴講者の感想

 私は現在、ハローワークで若年者の就職支援のための相談員をしています。主に大学生(学生)が対象です。内定率が問題になっていますが、卒業生の数だけの仕事がないのも問題ですが、ミスマッチも沢山あると思います。自分のレベルを知ってハードルを下げれば、内定率ももう少し上がるように思います。もう一つ問題なのは学生の学力の低下だと思います。そこで国際化とあいまって外国人の優秀な方を雇うようになり、また内定率が下がるのではないでしょうか。ここでもう一度、一から教育制度を見直す必要があると思います。