2012年4月7日 (第3009回)
立命館の復興支援活動-災害と学生ボランティアの1年
立命館大学サービスラーニングセンター 副センター長 山口 洋典
震災から1年。東日本大震災は阪神・淡路大震災とあらゆる面で比較されます。しかし、単純な比較では、わからないことが多々あります。ボランティアの側面も、その一つです。思えば阪神・淡路大震災は「ボランティア元年」と言われました。そこから数えれば今、ボランティア17年です。この間、日々の暮らしの無数の経験から、知識や知恵が蓄積されてきました。そして、そうした知見は、例えばNPO法や介護保険制度、さらには公益法人改革といった社会制度の刷新にも反映していきました。
私はこの17年で、とりわけ災害救援などのボランティアの現場では「恩送り」が重ねてられたと捉えています。「恩返し」でないところが重要です。「あのときお世話になったから」と、知らない土地の知らない相手に、自分事として何かがなされてきたのです。こうした思いのリレーが、哀しみの只中にいらっしゃる方々の、新しい日常を導いてきます。 ボランティアとは誰かに何かを捧げることです。通常は時間が捧げられます。時間がない人はお金を捧げ、それが寄付と呼ばれます。「あの日」から1年、日々の暮らしを思いながら、私の何を誰に捧げられるか、考え続けられることを願っています。
聴講者の感想
立命館大学の積極的な取組みをお聞かせいただき、大変感銘を受けました。私も昨年2回ボランティアに参加しましたが、「いかに自分が何もできないか」を思い知りました。また被災者の方とお話する機会時には、何もかえす言葉が出ず、涙をこらえることに必死で、ひたすら聞くことしかできませんでした。本日先生のお話をお聞きし、それが「ただ傍にいる」ということだったのかと実感しました。
そして、「自分が何もできない」ではなく、「誰かの出番を創る」ことであれば、京都にいてもできることです。今後も、今年も、自分の身の丈に合った活動を継続していきたいと改めて決心する一日になりました。ありがとうございました。