2012年4月28日 (第3012回)
今後の地震防災と京都
立命館大学立命館グローバル・イノベーション研究機構 教授 土岐 憲三
京都は1200年の歴史を有する都市であるが、約百年前までは大略、千本通りから花見小路、今出川から七条通りで囲まれる狭い範囲のみに人々が住んでいた。国宝や世界遺産などの文化遺産の遺されている京都盆地の山麓地帯は市街化されていなかったから、大火があっても火が及ばず焼けること無く今日まで遺っているのである。しかしながら、現在は京都盆地のあらゆる場所が市街化されており、地震の後での同時多発火災が起これば、これらの文化遺産は灰燼に帰するであろう。そして、その内陸地震の発生の可能性は日ごとに高まっているのである。こうした危険から文化遺産を守らねばならない。また、京都は文化財において特別な都市である。すなわち、国宝や重要文化財が多く遺されているが、それらの数を人口との割合で比較すると、我が国の政令指定都市での割合の13倍に達する。これは1200年前から王城の地であったからであり、現在の京都は先人の遺した文化遺産の恩恵に与っている。先人から受けただけの後世にも遺す努力を現在の京都はしていないのではないか。これは恥ずかしいことではないか。
聴講者の感想
今回始めて参加させていただきましたが、貴重なお話をありがとうございました。あまり京都の地震対策などについても考えたことがなかったので新しい発見でした。もう少し考えを深めてみたいと思います。