2013年6月8日 (第3058回)

歴史学からみた「京都学」の可能性と課題

立命館大学文学部 教授 田中 聡

 2006年に「京都歴史回廊プログラム」が設けられてから現在の「京都学専攻」に至るまで、授業を担当しています。一般学生や社会人受講生とともに、文献資料の検討やフィールドワークを重ねるなかで、一般的に広がっている「雅で繊細・純和風」といったイメージとは異なる京都の姿が浮かび上がってきました。

 また、数年前から「戦後京都における歴史意識の変化」に関する共同研究を進め、これまでほとんど検討されてこなかった近現代資料が、京都府内に数多く存在することが判明しつつあります。歴史学研究者やもと学校教職員の聴き取りなども行い、貴重な証言を得ることが出来ました。

 紋切り型の京都イメージに頼らず、地域に残りながら忘れられている資料、地域で生活する人の実感に根ざした「京都学」をこれから作っていくために、どんな視点や方法が必要か。授業や研究の現場で得られた知見を紹介しつつ、考えてみたいと思います。