2014年2月22日

デモクラシーの現在―政治の「周辺化」と「脱領域化」

法政大学法学部政治学科 教授 杉田 敦
《司会》立命館大学国際関係学部 教授 高橋 伸彰

 長年の「政治改革」にもかかわらず、日本の政治が良くなったように思えないのはなぜでしょうか。政治家や政党が無能だからでしょうか。 それもあるにせよ、おそらく、それだけではないでしょう。現代という時代において、政治というものがとてもむずかしくなっている面があると思います。 経済があまりにも大きくなり、もはや政治によって動かせる範囲が小さくなったこともあります。また、国と国との関係が深まり、 いくら主権国家でも、できることが限られて来た、ということもあります。

  「政治改革」では、官僚の手から権力を奪い、政治が主導権を握ればすべてうまく行くという考え方が広まりました。 しかし、もしも政治権力の総量が小さくなっているとすれば、政治家と官僚との関係を変えるだけで、問題を解決することはできないでしょう。 いま、政治が直面している困難はどのようなものか。身近な例から考えて行きたいと思います。 そして、その上で、なお政治にはどのような可能性が開かれているのかを見て行くことにします。