2014年5月17日 (第3094回)
日本近代思想史入門-美濃部達吉と吉野作造を読み解く-
立命館大学文学部 教授 小関 素明
私たちは過去を直接体験することはできません。また、これから日本近代史を研究しようとするみなさんは、そもそも何をテーマに研究すればいいのかと迷うことでしょう。そうした時に頼りになるのは、同時代を生きた人たちの目線や問題意識です。もちろんそれに振り回されてはいけませんが、問題意識をもって同時代を真剣に生きた人たちの目線は「過去の特殊性」を知らせてくれるだけでなく、われわれが普遍的に考えるべき問題点をわれわれに投げかけています。重要なのは知識の集積ではなく、「気づき」です。
今回取り上げる美濃部達吉と吉野作造は明治末~昭和戦前期に活躍した日本の代表的な民主主議論者として知られています。彼らが向き合った問題と彼らの残した論説には、主権、政党、民衆運動などにかかわって現代の日本社会や政治の問題点を考える際の重要なヒントがあります。
今回彼らの残した論説の読み解くことによって、その問題を考えてみたいと思います。それはこれから日本近代史を勉強しようと考えている皆さんにとって、大きな示唆を含んでいると思います。