2014年5月24日 (第3095回)

近代日本の法と心理学史-明治から現代の応用心理学-

立命館大学文学部 助教 若林 宏輔

 「法と心理学 Law and Psychology」という名前は耳慣れないという方もいるかと思います。現在は「法心理学 Forensic/Legal psychology」としてしまうこともありますが、「法と心理学会」という名前で学会もあるれっきとした学術領域です。日本で「法と心理」学会が設立されたのは2000年で比較的最近のことです。実は心理学が日本に輸入されてきた明治・大正時代には既に司法の問題について心理学的に検討してきた研究者がいたことがわかっています。また世界的に見ても19世紀末に心理学が学問として萌芽した後、極めて早期に心理学を司法に応用しようとした経緯があったこともわかっています。しかし、これら法と心理学関係の学会設立や学問的発展は現代になってから現れるのです。この経緯について心理学と司法の接点の歴史を辿りながら「法と心理学入門」としてお話したいと思います。また現代の法と心理学の取組についてもいくつかご紹介します。