2015年3月14日 (第3122回
不登校問題の解決とは何か―修復的支援と社会的包摂―
京都府教育委員会認定フリースクール 「アウラ学びの森 知誠館」代表 北村 真也
立命館大学産業社会学部 教授 中村 正
立命館大学産業社会学部 教授 中村 正
12万人といわれる不登校の小中学生がいる。不登校という言葉は、幾多の変遷のすえに辿り着いた。長期欠席・不就学、学校恐怖症、登校拒否、そして不登校という具合である。さらに、不登校と連続する「ひきこもり問題」もここに接ぎ木されている。「病気」ではないのでその内実は見えにくく、多様である。同じ事象であったとしても、言葉が変化しているので問題の定義も変わる。そうすると、その解決の方策も異なる。たとえば、たくさんのフリースクールができた。なかには認定フリースクールもある。中学に籍を置きながら並行して通える場として機能している。これまで存在している適応指導教室、保健室等の別枠登校だけではない選択肢が増えた。くわえて、出身学校(小中学)で不登校であったことを志願・入学条件とした私立中学も存在するようになっている(学校法人東京シューレ学園が経営する「東京シューレ葛飾中学」等)。不登校問題の定義と解法の変化をとおして、「再登校」だけではない多様な解決の模索を俯瞰し、不登校の研究、制度・政策、支援の実践の総体について、改めて、基本的なことを考えてみたい。