2017年3月25日 (第3197回)

原発被災地の現在~福島を知ることは、日本の地方問題を知ること~

立命館大学衣笠総合研究機構 ・准教授 開沼 博

 率直に言って多くの人が「福島の話って難しい、面倒くさい」と感じているかと思います。ここを乗り越えるのが今回の話の目的です。 3.11で地震・津波・原発事故の被害を受け世界に知られることになった福島。今回は、福島の現状がどうなっているのか、科学的なデータとそこに暮らす人の声とを紹介しながら、「まとめて知る機会」を提供します。短い時間ではありますが、話を聞くと福島の現状の全体像の大枠を掴んでかえって頂けると思います。そして、話を聞く前に頭のなかにぼんやりとあった3.11後の福島に関する知識やイメージと現実の福島とのギャップに驚く部分も少なからずあると思います。 福島を知ることは、「自分からは遠くにある原発事故や放射性物質の課題」を知ることではありません。確かに、それは一つの側面ではあるものの、現実を直視しその詳細を見つめようとすればするほど、そこにあるのは普遍的な課題であることに気づきます。少子高齢化、既存産業の衰退、医療福祉システムの崩壊、コミュニティの破綻・・・。そういった現代社会の根底にある脆弱性を露呈させたのが3.11だと換言することもできるでしょう。