2017年6月24日 (第3207回)
暴れる気候と暴れない気候 -人類は気候の激変期をどう生きたか-
立命館大学総合科学技術研究機構 教授 中川 毅
「気候変動」は、この20年ほどの間ですっかり馴染みのある言葉になりました。 特に最近の100年ほどは、人間が大量の石炭や石油を燃やしたせいで大気中の二酸化炭素が急激に増加、 いわゆる「温室効果」で急激な温暖化を引き起こしていると言われています。また地球温暖化と連動して、 ゲリラ豪雨などの「極端気象」も増えているらしいことが指摘されています。地球はこれからどこに向かおうとしているのか。 これは、現代を生きる私たち全員の未来にかかわる問題です。
いっぽう地質学的なタイムスケールで見ると、現代は地球の歴史の中でも例外的な、安定した暮らしやすい時代であることが分かります。 過去の地球には、現代の基準では「災害」としか表現できない出来事が、ほぼ日常的にくり返しているような時代がありました。 そのような時代は、今からおよそ1万1600年前にとつぜん終わりを迎えますが、今の安定な時代がいつまで続くのかは、じつは誰も正確に把握していません。
これからやってくるかもしれない「暴れる時代」について考えるために、かつての人類がそのような時代をどうやって生き延びたのか、 考古学と地質学の最新の知見を織り交ぜながら紹介します。