2017年7月15日 (第3210回)
混迷の中東情勢を読む ~「アラブの春」から「イスラーム国」へ
立命館大学国際関係学部 教授 末近 浩太
中東情勢は再び激動の時を迎えています。2011年の市民による平和的な民主化運動、通称「アラブの春」では、自由で平和な中東の誕生が期待されました。 しかし、その後は「イスラーム国(IS)」に代表される過激派によるテロが相次ぎ、また、独裁的な支配が各国で再び立ち現れつつあります。 こうした中東の絶望的な状況は、テロリストや難民のかたちでヨーロッパやアメリカへと飛び火し、排外主義や偏狭なナショナリズムの台頭をもたらす一因と なっています。今や、中東は国際政治のあり方を根底から揺るがす「震源地」となっているのです。
中東では、なぜ紛争が続いているのか、なぜ独裁者が多いのか、なぜ宗教が力を持っているのか、そして、なぜテロリストが生まれるのか。 本講座では、これらの問いを考えながら、混迷の色を深める中東情勢の今、そして、その国際政治における意義を読み解いてみたいと思います。