2017年7月22日 (第3211回)

アメリカの「対テロ戦争」 ~ブッシュからオバマ、そしてトランプへ

名古屋商科大学経済学部 准教授 溝渕 正季

Masaki MIZOBUCHI 未曾有の犠牲者を出したアメリカ中枢同時多発テロから今年で16年が経ちました。よく晴れた夏の朝、ニューヨークの――そして、アメリカの―― シンボルであった世界貿易センタービルにハイジャックされた飛行機が突入する映像は、アメリカ人のみならず、世界中の人々にきわめて大きな衝撃を与えました。

 当時のジョージ・W・ブッシュ政権はこれに対して「対テロ戦争」を即座に宣言するも、「我々の側につくか、あるいはテロリストの側につくか」という 「踏み絵」を迫る独善性と傲慢さ、圧倒的な軍事力に対する過信、そして同盟国や国際法を軽んずる単独行動主義は、世界中の反感を買いました。 その後を引き継いだバラク・オバマ政権は、前政権の残した負の遺産から決別し、「対テロ戦争」の幕を引くために多大なる労力と資源を費やしましたが、 結局、それを実現することはできませんでした。現在のドナルド・トランプ政権がこの「戦争」にどう対処するつもりなのか、未だ明確な方向性は見えません。 

 この講演では、ブッシュ政権が始め、オバマ政権、そしてトランプ政権へと引き継がれた「対テロ戦争」について、その起源と展開、世界情勢に与えた影響、 そして今後の展望などを、皆さんと一緒に考えていきたいと思います。