2018年12月22日 (第3262回)

臨床研究を取り巻く規制環境の変化

滋賀医科大学医学部 教授 臨床研究開発センター長 久津見 弘

 世界に先駆けて超高齢化社会を迎える我が国にとって、健康長寿社会を実現するライフイノベーションの推進は重要な課題である。そこで、革新的診断法や治療法の開発、低侵襲治療の開発が切に望まれ、医学研究の重要性は益々大きなものとなっている。その様な中、2013年のディオバン事件を契機に、日本の医学研究の信頼性を損ねるような事案が相次いで明るみに出、大きな社会問題となった。 これらを受け、臨床研究に関する倫理指針の改正、法整備が急速に推し進められ、臨床研究を取り巻く環境はこの数年で大きく変化している。これらの環境の変化に伴い研究者(医師)はこれまで以上に研究に対して労力を費やす必要が生じている。もはや、通常の臨床業務を行いながら医師のみで研究を実施することは不可能に近い。質の良い臨床研究を推進するには、臨床研究を支援する体制の充実が必要となるのである。