2019年6月1日 (第3279回)

遺跡が語る歴史 -現代ペルー都市部における環境の変化と考古遺産の活用-

立命館大学言語教育センター 外国語嘱託講師  Saucedo Segami Daniel Dante

 Saucedo Segami Daniel Danteペルーには遺跡が数多く存在し、考古学的資源の豊かな地域であると考えられる。しかし近年では、インフラストラクチャー(線路、高速道路、病院、学校、など。以下、インフラ。)の開発が進み、遺跡の保存が困難になっている。未だ考古学的調査の済んでいない遺跡も多く、都市が拡大するにつれて、遺跡が破壊される可能性が高い。また、地域に遺跡があったとしても、インフラは必要なので、遺跡かインフラかの選択を迫られた場合、現地の人々は必然的にインフラを選択する。この結果、特に首都のリマ市において、1960年代から状態が悪化し、かつての畑や水道は失われ、現在では全く新しい景色が広がっている。この環境の変化と人口との関わりを分析するため、私は2015年からリマ市ラ・モリナ区において、考古学と文化人類学の調査を行っている。この調査を通して、古代から現代における環境の利用法の比較するとともに、現代社会において有効な遺跡の保存方法を模索している。また、本研究の成果によって、環境と文化遺産にやさしい都市開発の方法を定義する。